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黄金坪(ファングムピョン)は、北朝鮮と中国の国境を流れる鴨緑江にある中洲だが、川を挟んで中国側に食い込んだ飛び地のような形になっており、両国を隔てるのは高さ数メートルのフェンスだけ。中国側の幹線道路からは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士と思しき集団が、農作業に当たっている光景が見られる。

ここがかつて脚光を浴びた時代があった。その地の利を生かして経済特区に指定され、金正恩総書記の伯父、張成沢(チャン・ソンテク)氏が中心となり開発が進められようとしていたが、2013年12月に処刑されたことで、計画はストップしてしまった。それから8年。黄金坪に再び変化の兆しが見えつつあると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:【中朝国境取材レポート(4)】張成沢処刑で開発が止まった黄金坪経済特区

平安北道(ピョンアンブクト)薪島(シンド)郡の情報筋は、郡の国境線一帯に今月15日、武装警備哨所(監視塔)が増強され、すすきの生えた鴨緑江の河原のあちこちで、武装兵士が警備にあたっており、一般住民が接近できずにいると伝えた。

中でも黄金坪には、移動型の哨所が100メートル間隔で設置され、畑で農作業をする農民の姿も見られないとのことだ。今回の国境警備強化について、警備に当たる兵士ですらわかっていないようだ。

黄金坪から新義州(シニジュ)市を挟み、北東にある義州(ウィジュ)郡方面よりも、薪島郡の方が警備兵力が2倍近く増やされており、黄金坪を中心に警備が強化されているというのが、情報筋の見立てだ。

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黄金坪の対岸、中国・担当の情報筋は、北朝鮮当局が警戒する脱北ルートではないため、脱北防止が目的ではないようだとして、コロナ鎖国で最悪の経済難に直面している現状から抜け出すために、この地域に注目しているではないかと見ている。

ただ、開発を再開するにはハードルが非常に高い。

中朝両国は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)に輸出加工区を設置することで合意しているが、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を避けるかのような山奥の立地だ。一方で、黄金坪は幹線道路に面していて、何らかの動きを見せればすぐに国際社会の知るところになる。

(参考記事:中朝、国際社会の監視避け「山奥」に輸出加工区を設置