「トウモロコシのヒゲで女性の遺体を…」北朝鮮の片田舎で起きた惨劇

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北朝鮮の体制が模範としている家族観は、金日成主席をオボイ(親)と崇め、子どもである人民どうしの結びつきによって作られる家庭が、革命組織の歯車となる、というものだ。そこには儒教やキリスト教、戦前日本の家族国家観など様々な要素の影響がうかがえる。

とはいうものの、理想と現実は異なるのが世の常だ。北朝鮮でも他の国と同じように、不倫が行われている。そして片田舎の農場での不倫関係が、凄惨な殺人へとつながってしまった。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは今月初め、中国との国境に接する会寧(フェリョン)の協同農場だ。

分組長を務めていた30代の男性は既に妻子ある身だったが、同じ分組の女性と1年前から不倫関係にあった。狭いコミュニティだけあり、2人の関係は農場全体に知られ、あれこれ陰口を叩かれていたようだ。

このことは、彼女の所属していた青年同盟(金日成ー金正日酒主義青年同盟)にも伝わり、厳しい批判が出た。これがきっかけとなって不倫関係は女性の両親にもバレて、彼女は激しく叱責された。それでも不倫関係を清算しようとしない娘。その身を案じた両親は、近隣に住む別の男性とのお見合い結婚を強引に勧め、式の日取りまで決めていた。

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そのことを知った分組長は逆上し、「さっさと婚約破棄しろ」と迫ったが、彼女は「自分は離婚しないくせに、なんで私の将来の邪魔をするのか」と口論になった。

不倫相手の結婚にショックを受けた彼は、今月初め、憂さ晴らしのために友人と共に酒を飲んでいた。その最中に急にカッとなった彼は、彼女の家に押しかけ、外に連れ出した。口論になった末、持っていた包丁で彼女を数回刺した。

彼女がその場で絶命したことに恐ろしくなった彼は、柵にかけてあったトウモロコシのヒゲの束で遺体を覆い、火を付けて逃走した。

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娘が帰ってこないことに心配していた両親は、外で火の手が上がったのを見て飛び出した。2人の目に飛び込んできたのは、変わり果てた娘の姿。号泣する声を聞きつけ、集まってきた住民により事件が通報されたようで、分組長は安全部(警察署)に逮捕された。

現在、予審(起訴前の取り調べ)段階にある彼には、殺人に死体損壊の容疑も加わり、無期懲役刑や死刑の宣告が下されるだろうというのが、村のもっぱらの噂だ。

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