北朝鮮カップルを殺意に狂わせた「韓流AV不倫」の罪と罰

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朝鮮民主主義人民共和国家族法は社会主義的結婚、家族制度を強固に発展させ、全社会を仲睦まじく、団結した社会主義大家庭にするのに貢献する(結婚法第1条)

朝鮮労働党や北朝鮮の政府は、結婚を個人の結びつきではなく、革命を達成するための末端の細胞(組織)と見て、革命的に出会い、革命的に結婚し、革命的な家庭を作ることを求めている。

しかし、北朝鮮に限った話ではないが、理想はあくまで理想に過ぎず、現実はかけ離れたところにある。

(参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

革命とは縁もゆかりもない男女の不倫関係も当たり前に存在し、それが悲惨な結末を迎えることもある。北朝鮮北東部の清津(チョンジン)では最近、不倫関係にあったカップルが、女性の夫を殺害する事件が発生した。

現地の情報筋によると、事件が起きたのは6月中旬のことだ。

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清津市保安署(警察署)所属の保安員(警察官)は、ある女性と不倫関係に陥った。

女性の夫は穏やかな性格で知られ、二人の不倫関係について街の噂で知っていた。しかし、相手が保安員である上に、一家の生計を担っていたのは妻だったため、ひたすら耐えて暮らしていた。

北朝鮮の一般男性は、国から割り当てられた企業などに籍を置く義務がある一方で、女性にはそれがない。その「自由」を利用して、女性は市場で商売に精を出す。ということで、女性は一家の財布の紐を握ることになる。

(参考記事:妻に優しくなった北朝鮮の夫たち…亭主関白の末路は「餓死の恐怖」

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ある日のこと。夫が家に戻ったところ、カップルは情事の真っ最中だった。さすがの夫も激怒し、2人が見ていた韓国製のアダルトビデオを持って保安署に訴えると言い出した。北朝鮮では、韓流ドラマ・映画はご禁制の品だが、それ以上にアダルトビデオは厳しく取り締まられる。

保安員は「許して欲しい」と許しを請い、妻も泣きながら謝ったが、夫は首を縦に振らない。そこで保安員は、夫を鈍器で殴り殺害してしまった。

2人は夫の遺体を山に埋めた。妻は翌日、人民班長(町内会長)に「夫が帰ってこない」と伝えた。何日経っても夫が帰ってこないことから、町内では「不倫関係にあった2人が夫を殺した」という噂が立ち始めた。それを聞きつけたのか、夫の弟が保安署に通報し、保安署は職場、家の周辺、山で捜索を行った。しかし、保安署は「証拠がない」として、それ以上の捜査を行おうとしなかった。

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ところがやがて、噂は近隣地域にまで広がった。

夫の兄弟たちは、平壌で1号飛行士(金正恩党委員長が乗る飛行機を操縦するパイロット)を務める兄に電話で事件のことを伝えた。それを聞いたパイロットは党に訴え、検察所による捜査が始まった。

「パイロットの兄は、弟が『行方不明』として処理され、脱北した疑いなどがかけられたら成分(身分)に問題が生じ、パイロットをやめざるを得なくなる。党組織も1号飛行士のこととあり、無視できずに事件を処理することにした」(情報筋)

平壌からの指示を受けた清津市検察所は、保安員と女性を逮捕した。当初は容疑を否認し、「(女性の)夫が理性を失い、襲いかかってきたので偶発的に殺害した、女性も夫を抑え込もうとして加勢した」と述べていたが、結局「韓流アダルトビデオを見ていたことを通報される」ことを恐れ、計画的に殺害したことを認めた。

情報筋は言及していないが、取り調べの過程で暴言、暴行、拷問を受けたことは、想像に難くない。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

今回の事件を受けて、清津では韓流や外国の映像に対する取り締まりがより一層強化されたと情報筋は伝えている。

ちなみに北朝鮮で不倫は、次のような法律で取り締まられる違法行為だ。

行政処罰法第221条(不当な離婚、浮華放蕩な行為) 不当な目的と動機で離婚したり、常習的に浮華放蕩なな生活をしたり、結婚登録、離婚手続きを行わずに他の対象と夫婦関係を行った者には、罰金または3ヶ月以下の労働教養処罰を与える。罪状の重い場合には3ヶ月以上の労働教養処罰を与える。