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北朝鮮は、国家的な記念日や重要な政治行事の前後に、事件・事故が発生することを忌み嫌っている。そういった期間中、北朝鮮当局は住民を動員して、金日成主席と金正日総書記の銅像や壁画はもちろんのこと、様々な設備、機関、さらには通りまで警備をさせる。市民生活に多大な影響が出るが、そんなことはお構いなしだ。

万が一、事件・事故が起きたら当事者が厳罰にされるだけでなく、管理責任者にも追及が及びかねないため、ガチガチに守りを固めようとするのだろう。しかし、そんな中でも事件や事故は起きる。

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両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、朝鮮労働党第8回大会の真っ最中だった先月8日に起きた密輸事件について伝えた。

韓国との軍事境界線に近い開城(ケソン)に住む骨董商2人は昨年12月、国境に向かっていた。おりしも、党大会に向けて防疫措置として規制が強化されていたころ、市や郡の境界線上に設置されている哨所(チェックポイント)では、住民の移動を厳しく統制していたが、2人はワイロをばらまきつつ、遠く離れた中国との国境と接する地域への潜入に成功した。

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2人は、国境地域のブローカーと協力して、あらかじめ国境警備隊を買収、買い手の中国のブローカーとも話をつけ、準備万端のはずだった。

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2人が売りさばこうとしていたのは、ブローカー数十人の全財産をかき集めても買えないほど高価な骨董品。高麗(918年〜1392年)時代に都が置かれ、朝鮮戦争での被害が比較的軽微だった開城には相当な数の骨董品があるものと思われるが、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」から2000年代前半にかけて、密売が横行した。

米国の北朝鮮専門ニュースサイト、NKニュースによると、飢えた開城の農民の間で墓の盗掘が流行し、掘り出した高麗青磁の壺や皿などの文化財級埋葬品を、50ドルほどでブローカーに買い取ってもらっていた。それらはブローカーの手を通じて中朝国境から国外に持ち出され、ソウルや東京のオークションで数千ドルで売りさばかれたという。

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そのときに掘り出したのだろうか。骨董商2人は、当時から大切に保管されていた骨董品を売りに出すことにした。当時は50ドルだったものも、今では相当に値上がりしていた。またこのビジネスには、かなりの力のある幹部がバックについていたことは想像に難くない。

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国境地域に到着した2人は、国境警備隊の幹部と共に、党大会の特別警戒期間で国境警備が手薄になったすきをついて、真っ昼間に国境の川を渡り、中国のブローカーに品物を手渡そうとした。ここまでは計画通りだったのだが、予想外のアクシデントが発生した。

骨董品を見た中国のブローカーが、真贋がわからないと、値下げを要求してきたのだ。交渉は次第に口論に発展。すると突然、中国人の集団が草むらから飛び出し、品物を奪おうとしたため、乱闘になってしまった。

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国境警備隊の隊員は、「開城の骨董商には手を出すな」との上部からの指示で、国境警備をせずにテントで休憩していたが、大きな物音に驚き外に出てみると、大喧嘩の真っ最中。大慌てで現場に急行するも、骨董品は結局中国人の集団に奪われてしまった。

国境警備隊の幹部は「話が違う」と言わんばかりに態度を一変。血だらけになって倒れていた骨董商を逮捕、身柄を保衛部(秘密警察)に引き渡してしまった。

保衛部は、党大会とコロナで国境警備を厳重にしている中で起きた密輸事件に呆れた様子だったという。一方の国境警備隊の隊員は、党大会期間中に国境警備を強化して密輸を摘発した功労を認められた形となった。

2人に対する処分は明らかになっていないが、時期が時期だけに、処刑または管理所(政治犯収容所)送りになる可能性が高いだろう。バックについていたであろう幹部も、事が失敗に終わったとあっては、下手に助け舟を出すわけにいくまい。

(参考記事:金正恩政権の高官関与か「金塊58キロ密輸で処刑確実」

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