金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は12日、韓国の合同参謀本部が北朝鮮での閲兵式の実施状況を監視中であることに対し、「同族に対する敵意」の表れだと非難する談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
金与正氏は5日から開催されている朝鮮労働党第8回大会で、党政治局委員候補から外れたことが明らかになっている。肩書の上では降格と見ることもできるが、今回、個人名で韓国非難の談話を出したことから、対韓国戦略で、なお主導的な地位にあると見られる。また、肩書がこれまでの第1副部長から副部長に変わった点も注目される。
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韓国軍合同参謀本部は11日、北朝鮮が10日の深夜に平壌の金日成広場で朝鮮労働党第8回大会と関連した閲兵式(軍事パレード)を実施したもようだと発表。閲兵式が本行事なのか予行練習なのかも含め、米韓の情報当局が動向を精密に追跡中だと明らかにした。
これに対し金与正氏は「この地球上には200余カ国があるというが、人の祝い行事に対して軍事機関が『状況捕捉』『精密追跡』などの表現を使って敵対的警戒心を表出するのは唯一、南朝鮮しかない」「南朝鮮当局が抱いている同族に対する敵意的視角に対する隠し立てのない表現だ」などと反発。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面続けて「われわれが首都で誰それを狙って軍事演習を行ったのでもなく、何かを飛ばそうとすることでもないのに、なぜそんなに首を長くして人の動静を探るために苦労しているのか」と嫌悪感を表した。また、「いつか私が言ったが、このようなことも必ず、後には計算(清算)されるべき」だと警告した。
金与正氏は昨年12月、韓国の康京和(カン・ギョンフア)外相が新型コロナウイルスを巡る北朝鮮の状況について、感染者ゼロとの発表は「信じがたい」などと発言したことに対し、「いつまで覚えておき、正確に清算する」と警告した。