「車椅子の前に跪いて、父親の手を握った。父親と対面すると胸が詰まった。父のやつれた手が私の胸を痛めた。父は私を見守るだけで、一言も話さなかった。20歳の青年だった私が、白髪になって現れたのだから。無理もない」
本の末尾には、彼の最後の願いが書かれていた。
「(軍捕虜が)故国の地をどれほど恋しがっていたか、自分が死んだ後にでも遺品を故郷に埋めて欲しいとの遺言を残す程だった。韓国政府は北朝鮮と交渉し、韓国軍捕虜の遺体を引き取らなければならない。それが国のために命を捧げた韓国軍将兵たちを最後まで責任を持つ姿勢だと思う」