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150キロを越える大量の金塊が中国に密輸されていた、いわゆる恵山(ヘサン)事件。犯行グループの男女6人は逮捕され、秘密警察の国家保衛省による徹底的な検閲(監査)の結果、国境警備隊、両江道(リャンガンド)保衛局、安全局(県警本部)の幹部らも深く関わっていたことが明らかになった。

朝鮮労働党の両江道(リャンガンド)委員会の委員長、国境警備強化のため派遣されている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の暴風軍団(第11軍団)の軍団長、第7軍団の副軍団長の3人は、事件再発防止のために、現在駐屯している国境警備隊の中隊を解散させ、人員を総入れ替えすることを、上層部に提起した。

中隊は解散となり、人員の入れ替えも始まったが、現地のデイリーNK内部情報筋によると、一連の作業は順調に進んでいないようだ。

(参考記事:北朝鮮の美女4人「金塊6億円密輸」犯を待つ無残な運命

国境警備隊の1個中隊は先月23日に解散させられ、翌24日には大隊もろとも、咸鏡南道(ハムギョンナムド)栄光(ヨングァン)郡に駐屯していた別の大隊と総入れ替えとなった。ところが、「水が変わったことと、寒さに適応できず、苦しんでいる」(情報筋)というのだ。

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栄養状態の良い兵士を選りすぐって派遣したとのことだが、特殊部隊の暴風軍団の兵士はもちろんのこと、元からいた国境警備隊の隊員と比べると体格などが見劣りし、国境地帯での潜伏勤務でも辛そうにしている。

また、新しく配属された隊員は、初めて目にする中国の様子にショックを受けている。

「栄光郡からやってきた兵士たちは、中国側の村の街路灯が夜通し灯っているのを見て驚き、中国の人々があまり歩くことなく、主に車やオートバイに乗って移動しているのを見て、また驚く。目を見張った、天国を見ているようだと話す兵士もいる」(情報筋)

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恵山の川向うは、中国吉林省長白朝鮮族自治県だ。人口8万人ほどの田舎町だが、夜でも街路灯やネオンサインで煌々と明るい町の様子は、電気がまともに供給されず真っ暗な地域からやってきた兵士たちにとって、あまりにも衝撃的だったのだろう。

長白の様子を見慣れた地元住民からは「あんなのでどうやって国境を守るのか」などと揶揄される有様だ。

兵士の間で思想的動揺が起きているとの報告を受けた上層部は、予定されていた人員入れ替えを停止した。また、入れ替えは問題のあるところだけ選んで行うことにし、国家非常防疫規定に違反する行為が再び起これば連帯責任を取らせ、責任軍官(将校)を解任、撤職(更迭)、過誤除隊(不名誉除隊)させ、家族もろとも追放するとの方針を示した。

(参考記事:北朝鮮の特殊部隊兵士、強盗目的で中国に侵入

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一方で、来年1月の朝鮮労働党第8回大会に向けて、国境警備のさらなる強化のために、暴風軍団の兵力1700人が増派された。これにより、恵山に派遣された部隊は、暴風軍団、第7軍団、人員入れ替えでやってきた栄光郡の大隊など4つに達し、市民は「準戦時状態のようだ」と不安に感じているという。

不安はそれだけではない。治安の悪化だ。食糧の補給が円滑に行われず、腹をすかせた兵士の集団が民家や農場で食べ物を強奪する事件は、以前から起きているが、市民と共存共栄関係にあった国境警備隊が追い出され、「よそ者」の兵士が大量に入ってきたことで、窃盗事件が続発しているのだ。

警務隊(憲兵隊)に通報しようにも、皆同じ軍服を来ているため、どの部隊所属かわからない。「どろぼうが10倍に増えた」「この有様では、玄関ドアまで盗られかねない」との声が上がっている。

「これでは商売もできない」「脱北を防ぐと言って、脱北に追いやっているのは誰か」などと、恵山には不満の声が溢れかえっている。

(参考記事:化学兵器で家族を金縛りに…金正恩「権威」裏切る凶悪事件