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北朝鮮との国境に面した中国側の町には、廃墟となったかつての国有企業、工場、半分崩れかかったようなあばら家が少なくない。人はいても、お年寄りや辺防部隊(国境警備隊)の隊員ばかり。北京や上海、あるいは近隣の延吉や長春の華やかさとは比較できないほどすたれている。

そんな中国の辺境に住む人々が、川向うで苦しい暮らしを強いられている北朝鮮の人たちと、苦境を脱するための「コラボ」として20年来行われてきたのが密輸だ。中国からは主に食料品や生活必需品が、北朝鮮からは農水産物が密輸されてきた。

(参考記事:父・金正日がまいた「犯罪の種」に苦しむ金正恩

ところが、国境の中国側で脱北兵士による凶悪犯罪が多発したことを受けて、国境警備が強化され、金正恩党委員長の登場でさらに厳しくなった。そこに加えて新型コロナウイルス禍である。北朝鮮当局は、自国側で国境地帯に近づく者は無条件で射殺するという方針を取っている。

(参考記事:北朝鮮「国境接近者は無条件で射殺」方針を撤回、中国との合意

国境警備隊がその指示に従って密輸犯に銃撃を加えた。容疑者の殺害には至らなかったが、その処遇をめぐり、ゴタゴタが起きている。

現場となったのは、平安北道(ピョンアンブクト)の龍川(リョンチョン)。北は貿易都市の新義州(シニジュ)、川向うは中国というロケーションだ。

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現地のデイリーNK内部情報筋によると、新義州市保衛部(秘密警察)の保衛員は、国境警備隊の保衛指導員と結託し、先月下旬のある日の夜、中国の業者と落ち合わせるために船に乗っていた。積荷は大量のタバコだ。

北朝鮮産のタバコは、味の良さで中国の愛煙家の間でも人気がある。北朝鮮は、有力な外貨獲得元としてタバコ栽培、製造に力を入れてきたが、コロナ対策の国境封鎖、貿易停止で輸出ができなくなっていた。

2人は、国境警備隊の哨所(監視塔)の哨所長が不在の隙を見計らって密輸を試みたが、気配を消して見張っていたかのように、突如として哨所長が現れた。彼は2隻の船が接触しているのを探知し、部下らに指示し、20数発の銃撃を加えた。

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銃声に驚いた中国の業者は、大急ぎで逃走した。残ったもう1隻のボートに乗っていたのは、哨所長と以前から顔見知りの保衛員だった。保衛員は哨所長に「われわれの仲じゃないか、見なかったことにしてくれ」と頼み込んだが、それを聞いて怒った哨所長は保衛員を逮捕し、タバコを没収した。

新義州市保衛部は、「われわれが自主的に処理する」として、国境警備隊から保衛員の身柄を引き受け、タバコも回収した。北朝鮮では、軍部隊同士のプライド争いがしばしば起きるが、ただでさえプライドの高い保衛部が、国境警備隊にやられてはメンツが立たないということなのだろう。

(参考記事:【北朝鮮軍での思い出】特殊部隊偵察兵、憲兵をボコボコにする(上)

保衛部は、今回の密輸は国が必要とするもので、中央の国家保衛省の承認を受けていると主張しているが、真偽は定かでない。

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自分たちの「シマ」を荒らされた形となった国境警備隊はカンカンだ。

「国境警備隊は、捕まえた保衛員と回収したタバコをおとなしく差し出したものの、保衛部が権力を振りかざし、国境防衛任務を誹謗している、自分たちをバカにして勝手に行動する保衛部を許してはおけないと、歯ぎしりしている」(情報筋)

何かがきっかけになり、いずれ国境警備隊が保衛部に「お礼参り」をする事態が起きるかもしれない。

(参考記事:北朝鮮の特殊部隊と国境警備隊が大乱闘、死傷者多数

今回の事件を耳にした咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)の4.25タバコ農場のイルクン(幹部)たちは、輸出ができず収穫したタバコの葉が腐るのを手をこまねいてみていたが、唯一の希望の光だった密輸が失敗に終わったことで、希望を失ったと嘆いている。

(参考記事:運命は金正恩のさじ加減ひとつ…飢え死に目前のタバコ農場

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