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北朝鮮・金正恩党委員長の「コロナ・パラノイア」に、いつ歯止めがかかるのだろうか。

韓国の野党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は、先月27日の国会情報委員会での国家情報院の報告内容として、北朝鮮当局が新型コロナウイルス対策の防疫規定を守らなかったとして有力幹部を処刑し、また為替レートの急落を理由に平壌の大物両替業者を処刑したと明らかにした。また、北朝鮮は漁業や塩田での塩作りも禁止した。海水から新型コロナウイルスが感染すると考えているようだ。

(参考記事:「常識を失っている」金正恩“過剰激怒”で処刑を乱発…韓国情報機関

そんな中、東海岸の大都市である咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市の朝鮮労働党委員会は、市内に事実上の外出禁止令を発令したと現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

道党委員会は先月下旬から、街宣車を使って住宅地で「伝染病が拡散しているので、絶対に区域から出てはならない」との放送を繰り返している。自分の住む町内からは出るなということだ。市内のすべての通りに安全員(警察官)や巡察隊を配備し、通行人を取り締まらせている。

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おりしも清津は、長い冬を乗り切るためのビタミン源となるキムチを大量に漬け込むキムジャンの季節を迎えていた。

「清津の人々は、毎年この季節になると、郊外の農場や農民の個人耕作地で白菜を買い付ける。中国からの密輸白菜を買ったりもする」(情報筋)

ところが、今回の外出禁止令で白菜やトウガラシなどキムチに必要な材料が流通しなくなり、価格が高騰、市民の多くはキムジャンができずにいる。1世帯あたりキムジャンに費やす費用は200元(約3180円)前後だが、物価高騰により、今年は5倍になってしまった。通りは、白菜を満載したトラックやリアカーであふれるものだが、今では全く見かけない。

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当局は市場も閉鎖してしまい、商人は市場周辺で物を売ることを余儀なくされている。

「市場も当分は閉鎖される。水南(スナム)市場周辺の人々は輸城川(スソンチョン)の堤防で商売しているが、安全員と糾察隊に追い立てられつつ、物を売っている」(情報筋)

水南市場は、北朝鮮有数の卸売市場で、中国や周辺地域から入荷した品物を全国に流通させる役割を果たしている。

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このような状況に市民の不満は高まる一方だ。

「伝染病(感染拡大防止)の取り締まりをするにしても、住民が生き伸びる方法を用意すべきだ」
「これでは皆が餓死してしまう」(清津市民)

今年5月、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市当局は、コロナ感染拡大防止を理由に市場を閉鎖する措置を取ったが、これでは生きていけないと市民の猛抗議に直面し、閉鎖期間を短縮せざるを得なくなった。

(参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「権力機関も恐れない」

しかし、今はささいな違反行為でも命取りになりかねないような状況だ。防疫措置の違反者には軍法が適用され、死刑になるケースもあるからだ。住民たちは怖くて抗議もできず、座して死を待つしかないような状況にある。

(参考記事:北朝鮮の北東部で物価高騰「路上で一家4人が餓死」