米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は9月30日、米専門家らの話として、北朝鮮と中国が今年初めに非公開の合同代表団をイランに派遣していたと伝えた。イラン側との協議内容は不明だが、専門家らは武器取引が議題に上った可能性を指摘している。
米国防情報局(DIA)出身で、米テキサス州のアンジェロ州立大学の教授であるブルース・ベクトル教授はVOAに対し、「1985年から北朝鮮の分析を続けているが、中国と北朝鮮の合同代表団がイランを訪問した例に初めて接した」と語った。
ベクトル氏はまた、合同代表団とイランとの会談では国連の制裁決議で禁止された武器取引について話し合われた可能性が高いとしつつ、「中国が北朝鮮の違法な兵器拡散を懸念してきた経緯を考えれば、かなり奇妙な動き」だと指摘。同時に、「中国は北朝鮮とイランのやり取りに敢えて関与することで、国際社会で惹起されかねないトラブルを未然に調整する目的があったのかもしれない」との推論を示した。
一方、米国の米韓研究所(ICAS)が同月28日に開催したオンライン対談でベクトル氏は、北朝鮮と中国の合同代表団がイランを訪問した背景について、チャド・スブラジア米国防副次官補に質問。スブラジア氏は合同代表団の件について否定せず、「ここで、中国と北朝鮮が合同代表団を組んだ意図について推測することはしない」としながら、「確かなのは、米国は北朝鮮と中国、イランの交流が安全保障分野での協力につながる可能性を憂慮しており、(動向を)注視している」と答えたという。
北朝鮮とイランの関係を巡っては、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会が28日に発表した制裁履行状況に関する専門家パネルの中間報告書で、北朝鮮の武器輸出を担う朝鮮鉱業開発貿易会社(KOMID)が依然、武器禁輸制裁の対象国であるイランで活動を継続していると明らかにした。
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KOMIDは北朝鮮の代表的な武器商社のひとつで、イランの軍需企業に対し、液体燃料の弾道ミサイルや打ち上げロケットの地上実験に使うバルブ、電子部品、計測機器などを販売してきたとされる。KOMIDは2009年から、国連の制裁対象に指定されている。