30代「女性家庭教師」を襲った北朝鮮高校生の猟奇的事件の顛末

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北朝鮮では、2007年に定められた刑法附則で、国家財産の略取、強盗、破損、貨幣偽造、故意の重傷害、誘拐などについて、従来の刑法の定めた最高刑を上回り、死刑を宣告できると定めている。

その中の一つが強姦だ。刑法279条では、暴行、脅迫により女性を強姦し、死に至らしめた場合には10年以上の労働教化刑(懲役刑)と定めているが、実際には死刑にもなりうる。しかし、北朝鮮政府は2017年7月に国連女性差別撤廃委員会に提出した報告書では、強姦罪で処罰された事例は5件に過ぎないとしており、この数字は他国より極端に少ない。

性犯罪は、実際の発生件数と認知件数に乖離が生じる場合が多いと言われているが、性暴力を被害者の落ち度とする風潮が根強いとされる北朝鮮では、被害者が被害を訴えにくく、訴えたとしても握りつぶされているのかもしれない。

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その現状が垣間見えるような凶悪な性犯罪が先月、北朝鮮の首都・平壌で発生した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

匿名を要求した平壌の情報筋によると、事件が発生したのは、平壌市内の平壌市内の平川(ピョンチョン)区域だ。鞍山(アンサン)高級中学校に在学中の16歳の生徒が、自宅で30代女性の家庭教師から指導を受けていた。

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そのさなかに、生徒が突然女性に襲いかかった。女性が激しく抵抗したため、果物ナイフで脅迫して強姦した後に、腹部と胸部を数回刺して死亡させた。

発覚すれば、死刑を免れない重大犯罪である。

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生徒は翌日、父親に付き添われて自首した。しかし2人が向かった先は、一般の犯罪を取り扱う安全部(警察署)ではなく、住民の思想動向を監視し、スパイ活動を摘発する保衛部(秘密警察)だった。

生徒の父親は、保衛部の上部機関である国家保衛省の高位幹部で、自分の権力を使って事件をもみ消そうとしているのだ。

状況証拠、物的証拠、被疑者も確保した状態なら1週間もあれば捜査が終了するところだが、保衛部は時間稼ぎを行い、安全部に生徒の身柄を引き渡そうとしないという。

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別の情報筋は「高級中学校の生徒が家庭教師を強姦して殺害するという事件は今まで聞いたことがない」と驚愕しつつ、父親のおかげで重罰にはされないだろうと見ている。

たとえ裁判にかけられたとしても、裁判官にワイロを包めば、大幅に減刑してもらえる。また、教化所(刑務所)に収監されても、カネとコネの力で出所させることも可能なのだ。ましてや相手が国家保衛省の幹部とあっては、カネを受け取る受け取らないとは関係なく、要求を断るのは困難だろう。

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情報筋は、被害者の遺族については触れていないが、もはや解決方法は「信訴」しかない。これは、中国の「信訪」と同様に、公務員による不正行為を告発するシステムで、憲法や法律に基づいている。しかし、機能の低下が指摘されている上に、相手が相手だけあって、訴えるのは非常に危険だろう。また、訴え出ることで、家族が性暴力被害者であることを社会的に知られてしまう。

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