韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は20日、非公開で行われた国会情報委員会で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長ら側近に一部の権限を委任し、統治を行っているもようだと報告した。
会合に参加した野党・未来統合党の河泰慶(ハ・テギョン)議員によると、国情院は「金与正氏が国政全般において委任統治を行っており、対南(対韓国)や対米問題に関しても、まず与正氏が報告を受け、彼女が金正恩に報告している」と説明したという。
ただ、金与正氏は金正恩氏の後継者として確定したわけではなく、委任統治も単独で行っているわけではないという。「金与正が全般的に、最も(権限を)移譲された部分が多いが、経済は朴奉珠(パク・ポンジュ)党副委員長、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理が委任され、軍事分野では新設された党軍政指導部の崔富一(チェ・ブイル)部長、戦略兵器の開発を担当する李炳哲(リ・ビョンチョル)党中央軍事委員会副委員長が部分的に権限を委譲されている」とのことだ。
金与正氏はこの6月、脱北者団体が散布してきた対北ビラを巡って韓国への強硬策を主導した。同氏は同月13日の談話で、ビラ散布への報復として南北共同連絡事務所を「跡形もなく」すると警告。すると、北朝鮮は16日午後、開城工業団地内にある南北共同連絡事務所を爆破した。
談話の発表からたった3日でこれだけの行動に出るとは、金与正氏は北朝鮮の「もうひとりの指導者」として、並外れた「実行力」をアピールする形となった。
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委任統治の目的について国情院は、当地ストレスの軽減と、政策失敗時に責任を逃れるためとの見方を示したという。
また金正恩氏の健康状態については、何ら報告がなかったという。