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 ※この記事には、性暴力の被害に関する具体的な記述が含まれています。

北朝鮮の刑法第295条「未成年性交罪」は「15歳未満の未成年との性行為は懲役5年以下の労働教化刑に処す。同類の前科のある者は5年以上、10年以下の労働教化刑に処す」と定めている。実際に処罰された例もある。

【事例1】2001年に咸鏡北道清津。12歳のヨンジュ(仮名)は歩けなくなった。両親はあまりのことに涙すら出ない。近所に住むキム・ワンス(仮名、23歳)が休暇で軍隊から帰ってきたときに事件は起きた。ヨンジュの家によく遊びに来ていたワンスは、久しぶりにヨンジュを見て出来心を抱いた。両親は市場に行って留守。面白い遊びを教えてやると両目を塞いだ。両親が家に戻ってきたら、ヨンジュは体中血まみれになって泣いていた。ワンスは軍人であることが勘案され、労働教化刑(懲役刑)3年の判決で済まされた。(証言:2008年に脱北したホ・ジョンホさん=仮名)

【事例2】1990年代初頭の両江道恵山市蓮峯洞。30代男性のパク・ポンジュ(仮名)は、手癖が悪いと近所で悪評が立っていた。9歳のソノク(仮名)は、キャンディをあげるとポンジュに誘われ、彼の家までついて行った。最初は「かわいい」となでて、やがて性暴行に及んだ。犯行はその後も複数回繰り返されたが、近隣住民に発覚。「あんなやつは死んで当然だ」との声に押されてか、ポンジュには裁判所で刑法の規定以上の無期懲役刑が下された。(証言:2003年に脱北したチョン・ハチョルさん=仮名)

「北朝鮮の政権は法の条文に縛られません。条文より金日成、金正日の方針、思想に立脚して処理し、その次には住民の感情をかなり考慮して処理します」

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北朝鮮における児童に対する性暴力についての問いに、前述のチョン・ハチョルさんはこのように答えた。刑法に未成人性交罪は存在するが、子どもが被害者になったケースを想定していない。最高刑は10年以下の労働教化刑と定めているが、実際は3年程度になったり、処刑にされたりで、その時の状況に合わせて判決が左右される。

ホ・ジョンホさんも、性犯罪者の処罰に関して明確な基準がないと述べた。

「悪いところを報道しないという特性と、性犯罪を隠蔽しようとする習性で、性暴力のような犯罪が同じ村で起きても知ることは難しい。また、刑罰は法の条文に縛られず、住民の感情がかなり考慮されるため、刑罰に関する正確な基準はない」

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【事例3】1980年代中頃、江原道(カンウォンド)の鉄原(チョロン)で9歳のオンリョンが山の洞窟で全裸の状態で亡くなっているのが、捜索中の軍人らに発見された。洞窟の中には、彼女の衣類が散乱していた。

オンリョンは、父親が勤務する軍部隊に行く途中で事件に遭った。家族のみならず部隊全体に大きな衝撃を与えたこの事件、犯人は同じ部隊の兵士であることがわかった。父親に会いに行く途中だったオンリョンを連れて山に入り、性暴力を加えた後で殺害、遺体を遺棄したというものだ。この兵士は軍事裁判で、殺人罪と未成人性交罪で死刑判決を受け、公開処刑された。

(参考記事:北朝鮮で児童への性犯罪が深刻…「表面化していないだけ」