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例えば、軍人が民間人の財産を盗む。労働者が工場の備品を盗んで市場で横流しする。農場員が農作物を着服する。

こういった行為は、当局からすれば当然、反国家的な行為になるが、住民達はこんな時に「党が決心すれば我々はやる」と言う。その裏には、「権力がやりたい放題を続ける気なら、こちらも思う存分やらせてもらう」という意味がある。

長年の経済難で当局の政策に対して不満をもっているせいか、「党が決心すれば我々はやる」というスローガンは、住民たちにとって「やられたらやり返す」というブラック・ジョークになっているようだ。

「近づけば焼け死に…」

咸鏡北道(ハムギョンブクト)出身のある脱北者は、「口先だけのスローガンに対する不満の表れ。『白米に肉のスープを食べさせる』と嘘ばっかり言ってきた金日成と金正日を揶揄する言葉で、最近では世襲王子、金正恩を揶揄する声だ」と説明する。

これ以外にも、住民が都合良く解釈する政治的スローガンはある。

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