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北朝鮮で最も豊かなところと言えば、首都の平壌だ。市場経済の進展に伴い、市民の間で所得の両極化が広がっているとは言え、地方では考えられないほどのリッチな生活レベルであることには違いない。

その次に豊かなのは、地方の大都市のうち、流通・貿易・交通の要衝となっているところと、港湾都市だろう。こうした要素を兼ね備えている代表的な例のひとつが、北東部にある咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)だ。そこに最近、ストリート・チルドレンともホームレスとも訳される「コチェビ」が急増している。

現地のデイリーNK内部情報筋は、昨年夏ごろから増え始めたコチェビが、最近になって頻繁に目につくようになったと現地の状況を伝えている。

彼らは元々、内陸の農村、鉱山地域にいた人々のようだ。しかし、鉱山は国際社会の制裁で輸出ができなくなり、操業が停止。そこに加えて新型コロナウイルス対策としての国境封鎖、貿易停止が追い打ちをかけた。

(参考記事:北朝鮮有数の鉱山が操業中断、路頭に迷う子供たち

一方の農村は、元々他人を助けるほどの余裕のない貧困地域だ。農民は、借金をして種や営農資材を買い、収穫で返済することを繰り返しているが、度重なる災害などで返済に行き詰まった人々が続々と農村を後にしている。

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また、経済難で内陸地方には食糧が充分に行き渡らない。食糧が底をつく端境期を抜けて麦の収穫期が来た今も、それが行き渡るまでにはかなり時間がかかる。食うや食わずの生活をしていた人々が、食べ物と仕事を求めて海沿いの都市へと次々に移動しているのだ。

(参考記事:コロナ不況で食い詰めた人々が目指す北朝鮮の「黄金郷」

「海辺(の地域)は仕事も充分にあり、海産物が多いという認識があり、コチェビが集まってきている」(情報筋)

清津が好まれるのは、気候面でも理由がある。山間部にある両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)の1月の平均気温は氷点下16.4度。一方、清津は氷点下5.6度で、さらに南に下った元山(ウォンサン)は氷点下1.8度。海流の関係で高緯度のわりには冬が暖かいのだ。

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(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】コロナ苦境で口減らし、家を出る老人たち

平安北道(ピョンアンブクト)の別の情報筋は、郭山(カクサン)で海の方向に向かう男性のコチェビ3人を見かけたと証言した。郭山は西海(黄海)に面し、中国国境までも100キロ足らず、大穀倉地帯の十二三千里平野が近接している地域だ。

「持っている米袋のようなカバンには布団や衣類がぎゅうぎゅう詰めになっていた。かなり長期間さまよっているように見えた」

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トンジュ(金主、新興富裕層)は、地元の朝鮮労働党、社会安全部(警察)にワイロを渡して労働者の雇用許可を得て、コチェビのうち子どもだけを選んで雇い入れ、網の手入れ、水産加工などの仕事をさせている。子どもたちに与えられるのは、粗末な食事と寝床だけだ。

北朝鮮の児童権利保障法は19条で児童労働を禁じている。また、31条では親のいない子どもは育児院、愛育院、学院で国が世話をすることを定めているが、そのような施策の対象になるのは一部だけなのかもしれない。