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北朝鮮政府は今年1月、新型コロナウイルスの国内での感染拡大を防ぐため、国境を封鎖し、貿易を停止する措置を取った。いくらコロナの感染が広がっているとは言え、中国依存が著しい経済構造を考えると、無理のあるやり方であることは北朝鮮も重々承知のことだろう。

それでも、中国との行き来をシャットダウンするしかないのは、国内の医療体制があまりにも貧弱で、感染が拡大したら対処できないからだ。ほぼ唯一の対処法は、感染症対策としては古典的と言われる隔離だ。

2015年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行したときも、北朝鮮は国境を封鎖し、最高幹部と言えども無条件で隔離する措置を取っている。過剰とも言える対策は、「蔓延すれば体制が崩壊しかねない」という当局の恐怖心の現れだろう。

(参考記事:金正恩氏が「エボラ」を異常に警戒する理由ーそれは「政権崩壊」の恐怖

コロナ対策の規則違反者に対する極刑の理由も同じ意味合いで読み取れる。

(参考記事:家族を銃殺。14歳少年は…金正恩式「コロナ対策」違反で

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一時期よりは落ち着いてきたようだが、北朝鮮国内では依然として多くの人が隔離状態にある。

デイリーNKの内部情報筋によると、中央非常防疫指揮部は先月30日の時点で、高熱、咳、呼吸困難などの症状を見せ、国の施設に隔離された人は865人と集計している。

地域別に見ると平安北道(ピョンアンブクト)が最も多く212人、次いで咸鏡北道(ハムギョンブクト)の140人、慈江道(チャガンド)123人、咸鏡南道(ハムギョンナムド)80人、両江道(リャンガンド)77人の順だ。咸鏡南道を除いてはいずれも、中国と国境を接する地域だ。

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それ以下は、平安南道(ピョンアンナムド)65人、羅先(ラソン)特別市61人、南浦(ナムポ)特別視37人、黄海南道(ファンヘナムド)32人、江原道(カンウォンド)29人、黄海北道(ファンヘブクト)9人で、首都・平壌ではゼロとなっているが、これは「革命の首都に感染症の疑い患者を置いてはいけない」との理由で、周辺の平安南道や南浦の隔離施設に移送したからだという。

なお、これは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内での隔離対象者は除いたものだ。

(参考記事:「コロナ感染で部隊が壊滅」北朝鮮軍、中朝国境で

865人は各地域の宿泊施設、休養所、講習所などに収容され、ドッツ、イソニアジドという結核薬が投与される場合もあるが、解熱剤、総合感冒薬しか与えられない場合も多く、いずれの治療薬も効果はないという。

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「事実上、治療薬はないと見ていい。症状が重くても軽くても、単なる咳でも呼吸困難でも、与えられるのは同じ薬なので、効果を得るのは難しい」(情報筋)

食事は出されるものの、非常に貧弱なものだ。経済的に余裕のある人は食べ物を差し入れてほしいと家族に連絡するが、何でもかんでも差し入れられるわけではなく制限があるという。

(参考記事:北朝鮮で新型コロナ収束に期待の声上がるも隔離費用徴収に不満

ただでさえ免疫力が下がっているのに、栄養状態が悪いため、死者が続出している。情報筋の話では隔離を解除されて退院できたのは全体の6割で、35%は死亡した。

北朝鮮は、国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式には認めていない。一方で、1月から高熱、咳、呼吸困難などで隔離された人の数は1万5000人に達する。地域別の隔離対象者の累積で、平安北道が4800人、慈江道3280人、咸鏡北道2490人、咸鏡南道1522人。中国からの帰国者や接触者すべてを隔離したため、平安北道の数が多くなっている。