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北朝鮮では、メーデーが終わり、10日から全党、全国、全国民が田植えを終わらせなければならないという総動員命令が下される。

大学生はもちろん、中学校3年生から労働者に至るまで、自分が所属する単位に割り当てられた人数分のリュックサックを掲げて農村に行き、住み込みで農村動員期間を過ごす。

北朝鮮の農村では、毎年5月になると多くの『支援人員』が見られる。「スプーンを持つ人々は全て農村で農作業をしなさい」という金正日の方針によって、毎年5月になれば都市から農村へ多くの人が移動する。

この時期では、至る所で取り締まるための警戒所が設置され、道を通り過ぎる人々を捕まえては『なぜ農村に行くのか?』と問いただす光景が見られる。取り締まりをされるとすぐさま農村に連れて行かれて強制労働をさせられるので、この期間だけは都市がまばらになる。

しかし、田植えが終わったからといって全てが終わるわけではない。田植えが終わるや、今度は草取り作業が待っている。『草刈り戦闘』は、秋の収穫期まで続く。もはや、農作業は農場員だけでする作業ではなく、全人民が総動員される。

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農村に行って、まず目にするスローガンは「農場は私の農場」という文章だ。1987年から登場したこのスローガンは、協同農場を自らの個人農場のように最善をつくして育てろとの意味が込められている。しかし、このスローガンが出てきてから、むしろ共同農場の農場主はいなくなってしまった。

なぜか? 個人が所有する農場のトウモロコシと共同農場のトウモロコシに大きな差があるためだ。当然、自らが食べて売るトウモロコシには精を出して育てるだろう。しかし、協同農場での国に捧げるトウモロコシに誰が精を出すというのか。

北朝鮮の農村は、解放前の1930年、40年代のそのままの姿を残している。それ以前と比べてあるものはクズ鉄の塊りになったトラクターや、その他の農機械ぐらいだ。これらは、燃料がないために、いつのまにか稼動しない無用の物になってしまった。付属品は錆だらけで、新しい物を買うことも出来ずに、そのまま放置してある。

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トラクターなどに乗って田植えをする姿はTVでしか見られず、ほとんどの田畑では昔ながらの農作業をしている。確かに、全人民が総動員されれば働き手の心配をしなくてもいい。一日二日ではなく、半月余りも腰を曲げて農作業をするので、腰が痛くなり不格好な様子で歩くのも大変になる。

畑の王と呼ばれるトウモロコシの種まきは学生の役割だ。金日成が創りだした主体農法でトウモロコシの種まきを行う為、幼い学生が死ぬほど苦労する。指導農民の監督の下、早朝から夜遅くまでその日の計画量をこなす為に必死になっている学生の姿が目に浮かぶ。

農村部の学校では、小学校の時から午後の授業後には必ずトウモロコシ栽培に動員されるので、ご飯を食べる人は全員が農業に駆り出されるといっても過言ではない。

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このように北朝鮮では、毎年、党や人民などのあらゆる人々が動員され農業を行うが、未だに食料不足を解決出来ていない。相変わらず国際社会に支援を要請し、最高人民会議議長までも先頭にたって要請している。

普段は、西側帝国主義の巣窟と非難するイギリスにまで出向き、今後二ヶ月がヤマ場だと泣き言を述べて、食糧支援の要請を哀願した。韓国の支援が無い場合には、5・6月の春窮期に住民が飢え死にする危険性があると主張し、対北支援民間団体と会えば支援を頼むの繰り返しである。

協同農場システムではなく個人農業に転換すれば、穀物生産量は間違いなく今よりも増加する。必死に作った農作物が自分の生産物になるのなら、全ての農場員は必死で農作業をするだろう。今のように、いくら働いても空腹だけが残るシステムで、誰が必死で働くというのだろう。

金正日とその取り巻きが既得権を守るために、この様に自明な事実を隠しており、北の未来は暗くなる一方だ。毎年5月になると、上昇するコメ価格を北朝鮮住民がどうやって乗り切るのか、不安な気持に駆られる。