北朝鮮が、国内での新型コロナウイルスの感染例は出ていないとの姿勢を崩していない中、北朝鮮は709人に対してPCR検査を行ったとロイター通信が報じた。
WHO平壌所長のエドウィン・サルバドール氏はロイター通信の取材に、北朝鮮保健省からの週間報告として、2日の時点で709人の検査を行ったが感染者は報告されず、509人を隔離していると明らかにした。検査対象者は北朝鮮国民698人、外国人11人、隔離は北朝鮮国民507人、外国人2人だ。
また、昨年12月31日以降で、外国人380人を含む2万2482人が隔離解除されたとも明らかにしている。さらに、中国が今年1月にPCR検査に必要なプライマーとプローブを、WHOが防護装備を支援したとも明らかにした。
北朝鮮で、新型コロナウイルスに感染を疑われる事例が発生したのは今年1月末のことだ。中国と国境を接する平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)と義州(ウィジュ)で、原因不明の高熱で死亡する人が相次いで発生した。また、首都・平壌でも中国での留学から戻った学生から複数の人に感染が広がり、死者が発生したと伝えられている。
北朝鮮は、外国人観光客の受け入れや貿易を停止し、国境を封鎖する措置を取る同時に、国内では強力な防疫措置を取った。
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しかし、北朝鮮の感染症対策当局のトップ、保健省国家衛生検閲院長のパク・ミョンス氏は1日、「今までわが国(北朝鮮)国内で新型コロナウイルス感染者は誰一人としていない」と述べたとAFP、共同通信などが報じている。
一方で、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内のデイリーNK内部情報筋は、軍医局は先月3日、1〜2月に180人が死亡し、3700人を隔離しているとの情報を最高司令部に報告したと伝えた。また、時事通信は今月1日、北朝鮮消息筋の話として、1万6000人以上が隔離され、感染によるとみられる死者が平壌、平安北道、平安南道(ピョンアンナムド)などで260人以上に達したと報じた。
北朝鮮は、防疫措置の違反者に対しては最高で処刑という、命を守るための措置で命を奪うという強力ながらも矛盾した対応を取っている。
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