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北朝鮮と中国の国境を流れる鴨緑江周辺で、大々的なヘビの捕獲作戦が行われている。「噛まれれば即死する」という恐ろしい毒ヘビが急増したとの理由からだが、現地の情報筋は、ヘビの実態はなく、当局発のフェイクニュースによるものだと伝えた。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、今月の初めに突然国境警備隊に「ヘビが鴨緑江の堤防を越えて来る前に捕まえよ」との指示が労働党から下された。

ヘビが大量発生して様々な営業が出ているというものだが、その指示を聞いた多くの人を呆れさせたのは、その理由だ。

「南朝鮮(韓国)安全企画部(現国家情報院)が、われわれの一心団結を崩そうとヘビを放った。悪辣な策動だ」

兵士たちは上官の指示に従って、川に入ってヘビを捕まえる作業をしているが、「韓国が、(プロパガンダ用の)ビラや(韓流ドラマなどが保存された)VCDでもないヘビでわが国(北朝鮮)を攻撃するなんて、3歳の子どもでも信じない」と不満たらたらだという。

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「梅雨の大雨で増水した鴨緑江でヘビ狩りをさせたのは、韓国のせいだという上部の主張とは異なり、兵士の間では『思想武装用だ』との見方を示す人もいる」

現在北朝鮮では、200日戦闘が行われているが、米国や韓国からの攻撃の可能性を浮き彫りにし、住民の精神武装を図ったというのが、国境警備隊の現場の声だ。

当局が、自らの失政の責任逃れのために、米国や韓国に責任をなすりつけることはよくある。情報筋は「以前、農薬不足でトウモロコシ畑に害虫が大発生したときは、『米帝の謀略のせい』と宣伝した」と伝えている。

(参考記事:中国製医薬品の健康被害、北朝鮮は「韓国のせい」と誤魔化す

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本当に韓国がヘビを放ったのならば、堤防にもヘビがいるはずだが、実際に見たという人がほとんどいないため、「ヘビを捕まえよ」という指示はほとんど無視されているとも伝えた。

こんな荒唐無稽なフェイクニュースだが、信じる人も中にはいるようだ。

保安署(警察署)は、ヘビの目撃証言があったとして、市民に注意を呼びかけている。また、一部地域では「ヘビに噛まれた人が死んだらしい」との噂が広がり、不穏な空気が流れているという。

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地域の農村では、ヘビに噛まれるかもしれないとの不安が広がり、畑の草取りができなくなり、農作物への被害を懸念する声と同時に、韓国を非難する声も上がっている。

一方で、「ヘビに噛まれれば即死する」という噂が広がり、密輸で川に入る人の間でゴムの作業ズボンの需要が高まり、一時的に価格が14万北朝鮮ウォン(約1820円)から20万北朝鮮ウォン(約2600円)に上昇したが、値上げで需要が抑えられたとのことだ。

(参考記事:北朝鮮、フェイクニュースで国内世論を誘導