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今のところ、北朝鮮で新型コロナウイルスの感染者が出たとの公式発表はないが、川を挟んで向かい合う中国の東北部では感染が拡大している。

各省の報告によると、感染が確認された人の数は、6日の時点で黒龍江省で277人、遼寧省で94人、吉林省で65人に達している。中でも、中朝貿易の要衝の遼寧省丹東では7人、領事館など北朝鮮関連の様々な機関が存在する瀋陽では23人が報告されている。

北朝鮮当局はウイルスに対する警戒を強め、事実上の国境封鎖を行い、国営メディアでも連日、予防法に関する報道を行っている。そんな中、平壌駐在の各国の大使館やその職員に対して検査を行ったと、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

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金正恩党委員長は先週、「私が動く前に外務省イルクン(幹部)が(問題を)除去しておくべきだった」と、能動的な対処ができなかった外務省幹部を厳しく叱責した上で、平壌駐在の外国の大使館に対して検診を実施せよとの指示を外務省に下した。

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これを受けて外務省は、ただちに行動に出た。ただし、すぐに検査を行ったわけではない。

外交関係に関するウィーン条約で、外国公館、外交官、国際機関は駐在国の主権が及ばないところとされており、受け入れ国の官憲であっても、公館の長の同意がない限り、立ち入りは絶対できない不可侵の場所だ。また、刑事訴追などの対象にもならない。

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そのため外務省はまず、各国大使館に対して検査を行うと通知。大使館側から協力するとの回答を得たことを受け、実施することとした。ただし、実施日時と検査方法については協議を行わず、一方的な通告で済ませたとのことだ。

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4日から外務省の担当者、中央病院、中央防疫所の関係者など40人からなる検査班が立ち上げられ、各国の大使館に入って検査を行っている。

平壌には25カ国の大使館があるが、「区域に関係なくすべての大使館や官邸を対象とせよ」との指示に基づき、万寿台(マンスデ)芸術劇場の西隣にあるロシア大使館、凱旋門の北側にある中国大使館、そして、市内中心部から離れた、大同江(テドンガン)東側の紋繍洞(ムンスドン)周辺の大使館に勤務する外交官、職員、その職員が対象となっている。

外務省は12〜13人からなる検閲グルパ(検査班)を3つ作り、地域別に検査を行った。中国大使館とロシア大使館の検査を担当した2つのグルパが検査を終えれば、他のグループに合流して紋繍洞の他の国の大使館で検査を行う流れとなるだろうと情報筋は見ている。

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もし、感染者が発見されれば、隔離して治療するのではなく、一時的に本国に追放する措置を取る予定だと情報筋は伝えた。もし、一時的な追放を拒否すれば、永久に追放する措置を取る構えだという。

金正恩氏は外務省の関係者に「大使館内の感染が疑われる者、感染者が臨時追放を執行できなければ、人事措置を行う」との警告を下したと伝えられている。これは「国の主権と人民の安全のためにまともに作業ができなかったら責任を問う」ということで、「外国の大使館と不協和音が生じたとすれば、普段から大使館をきちんと管理できなかった外務省担当者の責任」ということだと説明した。

これと関連して平壌駐在のロシア大使館は、1日のFacebookへの投稿で、先月13日以降に北朝鮮に入国した外交官とゲストは、居住地で15日間隔離され、外交官専用の友好病院で検査を受けると明らかにした。

しかし、4日の投稿で、規則に違反して先月31日に入国して他の人に接触した人がいるとして、隔離期間を今月15日まで延長すると北朝鮮外務省から通告を受けたと明らかにしている。

他の人との接触を避け、ホテル、商店、レストラン、統一通りの市場、外交官クラブの利用を停止し、大使館地域内のホテルにある施設のみを使用することだけが認められ、隔離期間中の出入国は禁止され、もしあった場合は、平壌への入市は隔離期間の15日を経過した後で認められる。

また、平壌とウラジオストクを結ぶ高麗航空のフライト、モスクワ、ハバロフスクを結ぶ国際列車の運行も無期限で停止となった。