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北朝鮮の対外宣伝ウェブサイト「統一のこだま」が相次いで画期的な発明品を紹介した。実用化されれば、多くの北朝鮮国民の命を救うことになりそうだが、その効果は未知数だ。

統一のこだまが22日に紹介したのは、一酸化炭素中毒を防ぐ添加剤だ。発明したのは平壌市の寺洞(サドン)区域都市建設隊のチョン・ギホさんら。

これは、石炭の燃焼過程で発生するすべての有機物、無機物と化学反応を起こさせ、一酸化炭素を二酸化炭素に変えるというものだ。また、石炭の燃焼に必要な酸素を物理学的特性で強い触媒の役割を果たし、燃焼効率を2割も向上させる役割も果たす。

石炭1トンあたり5キロの添加剤を溶かした水を混ぜて燃やすと、亜硫酸ガスが全く発生せず、一酸化炭素の除去も従来品より高かった。トウモロコシのひげ、おがくず、わらを主な原料とし、製造も簡単で、使用者から好評を得ているとのことだ。

同サイトは昨年12月、医学研究院の環境衛生研究所が新型の一酸化炭素被害防止剤を開発したとも伝えている。液体で、香水のように体にふりかけたり、室内に撒いたりすれば、一酸化炭素と赤血球が結びつく力を弱くして、一酸化炭素中毒にかかるまでの時間を遅らせるというものだ。

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一方、別の北朝鮮サイト「こだま」は、未来科学技術交流社が、Bluetooth一酸化炭素警報機を開発したと報じた。一酸化炭素の濃度の測定器と携帯電話をBluetoothで繋ぎ、濃度をリアルタイムで監視、事故が発生すれば警告を発すると同時に、救助を要請できるという。

なぜ、北朝鮮で一酸化炭素中毒を防止する発明品がこんなに脚光を浴びるのか。それは、暖房に使われる燃料が石炭だからだ。北朝鮮では冬になると、一酸化炭素中毒で亡くなる人が続出する。事故の防止は切実なのだ。

(参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」

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被害を防ぐために、夜中に家々をまわり一酸化炭素中毒になっていないか確認する「焦げ臭い匂い取り締まり班」が活動しているが、防犯のために戸締まりを頑丈に行う人が増え、彼らの活動は以前ほど順調ではないようだ。

(参考記事:「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

いずれの発明品も、多くの人命を救うことになる非常に画期的なものだが、実用化されたのか、どれほどの効果があるのかなど、詳細はわかっていない。3つ目のBluetooth警報機を除いては写真すら公表されておらず、朝鮮労働党機関紙・労働新聞や国営の朝鮮中央通信でも報じられていない。

北朝鮮のメディアは、画期的な発明を紹介しながら、その後どうなったかを一切伝えないことがしばしばある。2015年8月、平安南道(ピョンアンナムド)の南浦(ナムポ)海運事業所が、屋根いっぱいに貼り付けられたソーラーパネルで動く旅客船を製造したと報じたが、その後の音沙汰はない。おそらく実用に耐えなかったのだろう。

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今回の発明品は、貴重な人命がかかっていることを考えると、ぜひとも実用化に成功してほしいものだ。

(参考記事:北朝鮮の「やり過ぎ」ソーラー事情…バスにボート、実用性は?

ちなみに、韓国の国土交通省の2017年の調査によると、韓国では練炭を燃料に暖房の燃料に使っている家庭は6.1%に過ぎない。札幌市が平成27年3月に行った調査では、石炭ストーブを使っている人の割合は0%だった。中国の北方地域では2016年末の時点で約8割が石炭を使っているが、大気汚染防止策で、急速に太陽エネルギーなどに置き換わりつつある。