まずいと不評の「金正恩印お菓子セット」、来年は配布中止

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韓国の中央日報が12日、北朝鮮の外国文出版社が発売した2020年版カレンダーを入手したと報じた。その画像を見ると、金正恩党委員長の誕生日である1月8日は祝日ではなく平日となっている。

太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)、光明星節(2月16日の金正日総書記の生誕記念日)と共に、1月8日も祝日にしようという動きが観測されたこともあったが、実現には至っていない。

(参考記事:金正恩氏の誕生日が「記念日」にならない諸々の裏事情

公に行われれるのは、全国の子どもたちにお菓子セットを配ることくらいだが、それが急に中止になったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

このお菓子セットだが、とかく評判が悪かった。金正恩氏が配ったものを粗末に扱うことは政治犯扱いされかねないが、市場で安値で売られたり、学校でオモチャに使われたりするなど、散々な扱いを受けてきた。

(参考記事:金正恩氏が配ったお菓子セット、不味すぎて政治事件に発展

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両江道(リャンガンド)の情報筋は、来年1月8日に予定されていた子どもたちへのお菓子セットの配布が中止になったと伝えた。上部から下された指示分の内容が人民班長(町内会長)を通じて知らされたという。中止の理由は「元帥様(金正恩氏)の崇高な愛」(情報筋)というものだ。

「(金正恩氏が)人民たちが自分を信じて支えてくれているのに、人民たちの生活を楽にできず面目がないとして、人民生活が向上するまでは自分の誕生日を祝わないという謙虚さを見せたというのがプロパガンダの内容」(情報筋)

要するに経済的に苦しいのに、これ以上国民に経済的負担を与えたくないというのが「ありがたき御心」であるということらしい。

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この「負担」について、平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋はこのように説明している。

「毎年配られるお菓子セットは、各地域の食品工場で作られているが、原材料の費用は住民から徴収している。住民から巻き上げた税金で作ったものを(金正恩氏の名前で)配る『贈り物政治』は、わが国から完全になくすべき病弊の一つ」

公式の税金制度のない北朝鮮では、施設の建設、政治行事の開催などに必要な金品を、「忠誠の資金」などと称する強制募金によって賄っている。お菓子セットも例外ではない。経済制裁の影響で生活が苦しいところに、さらなる負担を強いれば国民の不満が高まりかねないと考えたのだろう。

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情報筋は、1月8日の配布は中止になったが、太陽節と光明星節の配布が例年通り行われると聞き、「庶民がまた苦しめられると考えると、まだ先のことなのに頭に来る」と述べている。

金正恩氏の名前でのお菓子セットの配布は中止となったが、金正恩氏は心待ちにしている子どもたちが落胆するかもしれないので、自分の誕生日ではなく、新年を祝うお菓子セットを配れという指示を出した。それに基づき、1歳から6歳の子どもは洞事務所(末端の行政機関)で、小学生は学校で12月30日に配られる予定だ。また、太陽節と光明星節のお菓子セットは例年通り配られるとのことだ。