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今年は朝鮮半島にとって台風の「当たり年」だ。7月には台風5号(ダナス)、8月には8号(フランシスコ)、9月には13号(レンレン)、17号(ターファー)が上陸または影響を及ぼし、被害を発生させている。ちなみに、1904年から2017年までに朝鮮半島に向けて北上した台風の数は年平均で3.1個なので、今年はすでに平均を超えている。

台風18号 (ミートク)は2日、午後9時過ぎ、韓国南西部に上陸し、南部内陸を縦断し、翌朝6時に日本海に向けた。大雨により各地で浸水、土砂崩れが多発し、14人もの犠牲者が発生した。この台風は、北朝鮮にも被害をもたらした。

日本海に面した咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、端川(タンチョン)の一部地域では浸水被害が発生、床上まで水に浸かり、傾いている家もあるという。また、南の江原道(カンウォンド)でも大雨被害が発生したと伝えているが、詳細には触れていない。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、中国と国境を接する会寧(フェリョン)で、除隊軍人一家3人が家の下敷きになり死亡したと伝えた。一家は、大雨で家の柱が傾き、壁にヒビが入ったことに気づいていたが、経済的に余裕がなく、何もできないままに夜を迎え眠りについた。すると夜中の雨で家が崩壊し、屋根と壁の下敷きになった妻と息子2人が亡くなったという。除隊軍人が用事で外出した間に起きた悲劇だった。

「このようなことになったが、住宅の被害は個人が修理にすることになっていて、(当局の)対策はない。またいつ事故が起きるかわからない状態で、住民は不安がっている」(情報筋)

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(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】台風13号上陸で被害続出も国からの支援は皆無

北朝鮮では近年、台風などの自然災害により、被害が大規模化する事例が繰り返されている。2016年に北東部を襲った台風10号(ライオンロック)では、中国との国境を流れる豆満江が氾濫、周囲の村々を飲み込み、多数の死者が発生した。上流のダムが予告なしに放水を始めたことが、被害を更に大きくした。

同じ川の反対側の中国でも大きな被害が発生したが、比較的早期に復旧が完了した。一方で、北朝鮮では遅々として復旧が進まなかった。

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被害の大きかった地域では、村を抜け出し国境を越えて脱北する人が続出した。通常、理由を告げずに住んでいるところを離れれば、「行方不明者」扱いとなるが、脱北したものとみなされ、残された家族が当局の監視のもとに置かれる。しかし、水害で死んだことにして脱北すれば、そういう問題は発生しない。

(参考記事:死者になりすまして脱北?…北朝鮮の水害被災者