国連安全保障理事会は2016年11月に採択した制裁決議2321号で「全ての加盟国が、その領域内において北朝鮮が所有し又は賃貸している不動産について、外交又は領事活動以外のいかなる目的での使用も禁止することを決定する」と定めている。

これは、各地の北朝鮮大使館が、無断で建物を民間業者に貸し出し、外貨収入を得ることを防ぐためのものだ。しかし、制裁は徹底されているとは言い難い。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、旧共産圏のブルガリアにある北朝鮮大使館が、建物の賃貸を続けている実態を報じた。

首都ソフィアの南東郊外、多くの外国大使館があるムラドスト1地区のアカデミック・アンドレイ・サハロフ通り56番地に、その建物はある。1980年代に5920平方メートルの敷地に北朝鮮大使の邸宅として建てられたものだが、国連安保理の対北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、昨年3月に発表した報告書で、ここが違法に貸し出されていると指摘した。

ここを借りているのは、テラ・グループが経営する「レジデンツィヤ・テラ」だ。結婚式、企業や個人のイベントや、ミュージックビデオやテレビコマーシャルの撮影に使われている。

レジデンツィヤ・テラは昨年、北朝鮮との定期賃貸契約を結んだが、国連安全保障理事会の制裁決議の採択後、賃料の納付を中断したと明らかにしていた。

しかし、ブルガリア政府は今月20日の時点でも、レジデンツィヤ・テラに対して何ら対処を取っておらず、営業を続けている。RFAが確認した結果、来年まで予約が可能となっている。

北朝鮮大使館が違法に貸し出しているのは、この物件だけではない。

レジデンツィヤ・テラから西に300メートル離れたところにあるソフィエスコ・ポーレ通り3番地。北朝鮮大使館の敷地内にある建物には、ソフトウェア開発を行うIT企業テクノロジカ社が、研究開発事務所(同社のホームページによる)を構えている。

同社のCEOは、ブルガリアのカピタル紙との2017年8月に行ったインタービューで、月々の賃料は1万レフ(現在のレートで約60万円)未満だと答えている。

北朝鮮大使館による違法な建物の貸し出しは、他でも行われている。

北朝鮮は、ドイツの首都ベルリンにある大使館の施設を安宿のシティ・ホステルを運営するEGI社に貸し出してきた。一時、契約解除が伝えられていたが、ドイチェ・ヴェレ(DW)は今月、未だにホステルが運営されていると報じた。

大使館は、昨年2月にEGI社との契約を打ち切り、立ち退きのための裁判を始めたが、前払いを求められた費用を払えないため、裁判が進められないというのだ。

EGI社は未だに毎月3万8000ユーロ(約450万円)の賃料の支払いを続けているが、同社のCEOは北朝鮮大使館名義の凍結された口座に入金しているため、制裁違反には当たらないと主張している。地元の議員は、大使館が裁判費用の納付遅延を言い訳に、言い逃れし続けているのではないかと見ている。

(参考記事:在ドイツの北朝鮮大使館、敷地内の宿泊施設の契約解除…業者は猛反発

一方、ポーランドの首都ワルシャワの北朝鮮大使館が、制裁に違反して建物の「間貸し」をしている件については続報がないが、同じ住所には未だにクリニックなどが存在することから、違法な貸し出し状態が続いているものと思われる。

(参考記事:北朝鮮大使館の「間貸し」に業を煮やすポーランド

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