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韓国で「脱北美女」タレントとして活動していたイム・ジヒョンさんが突然消息を絶ち、後に北朝鮮の対外向けプロパガンダメディア「わが民族同士」に登場したのは2017年4月のことだ。

韓国社会を驚愕させた彼女の帰国を巡って「自主的に帰った」「北朝鮮の保衛部(秘密警察)に拉致された」など様々な憶測が飛び交った。両親と会うために中朝国境に向かったところで拉致されたとの説もあるが、未だ真相は闇の中だ。

(参考記事:美女タレントを「全身ギプス」で連れ去った金正恩氏の拷問部隊

金正恩党委員長が2012年に「南朝鮮(韓国)に出て行った脱北者を連れ戻せ」という指示を下して以降、保衛部はあの手この手を使って、脱北者を懐柔、脅迫して、連れ戻している。

そんな中、脱北して中国に住んでいた北朝鮮男性が、保衛部の罠にひっかかり、本人はもちろん一家全員が逮捕されたと、北朝鮮事情に詳しいデイリーNK情報筋が伝えた。

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情報筋が伝えた事件の顛末は次のようなものだ。

脱北後に中国に滞在していた脱北者Aさんは今年5月、北朝鮮に残してきた家族から「当局に10万元(約158万円)払えば、中国に住んでいる脱北者に二重国籍を与え、北朝鮮と中国を自由に出入りできるパスポートを出してくれるらしいと保衛員(秘密警察)が言っていた」という話を伝え聞いた。

この保衛員は、昨年から咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)に住むAさんの家族を頻繁に訪ね、「カネさえ出せば中朝を自由に行き来できるパスポートを出すぞ」と伝えていたという。

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国内の移動の自由すらない北朝鮮国民にとって、海外渡航に必要なパスポートを取得することは、ごく一部の人にしか認められない特別なことだ。運よく取得できたとしても、今度は出国に必要な許可を取らねばならず、海外に行くことは夢のまた夢だ。

中国の国籍法は二重国籍を認めていない上に、北朝鮮当局が自国民に中国国籍を与えるなどありえないことだが、Aさんにはそれを判断できるだけの知識がなかったのだろう。

話を聞いたAさんは疑いつつも、もし本当ならば故郷の親兄弟に会えるという一心から、先月初めに北朝鮮に戻った。Aさんは「もしかして保衛部の罠かもしれない」と思い、すぐには家に帰らず、10日ほど別の場所で身を隠していた。

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何も起こらなかったことから警戒心を解いたAさんは、家族の待つ家に戻った。ところが、張り込み中だった保衛員に捕まり、保衛部に連行されてしまった。翌日には家族全員が連行され、1ヶ月経っても何の音沙汰もなく、「全員が管理所(政治犯収容所)行きになりそうな雰囲気」(近隣住民)とのことだ。

情報筋は近隣住民から聞いた話として、Aさんの両親は昨年、人身売買容疑で逮捕され、保衛部に連行され拷問を受けたが、ワイロを支払ってようやく釈放されたと伝えた。

そのときに保衛部は、Aさんが脱北ブローカーとグルになって人身売買を行ったのではないかと追及した。しかしその後に方針を変えて、懐柔策によってAさんをおびき寄せる作戦を使ったのではないかと、情報筋は見ている。

(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為