北朝鮮当局は最近、地方都市にあるレストランやカラオケルーム(画面伴奏音楽室と呼ばれる)の仕切りを撤去し、密室をなくす作業を行っていると、脱北者支援を行っているNGO「良い友」の機関紙が報じた。

ありとあらゆる場所で行われる売春

北朝鮮では2000年代に入り、新義州(シニジュ)、清津(チョンジン)、咸興(ハムン)など地方都市で、旅館、サウナ、公衆浴場、カラオケルーム、居酒屋などで売春が行われるようになった。

中でもマッサージ屋やサウナは、最初から売春を行なう目的でオープンしている。駅前には、数多くの客引きがいて、客を店に案内するという。

記事によると、元山(ウォンサン)では、レストランの地下に部屋を作り、若い女性を雇い入れ、売春をさせていたとしてオーナーと関係者が処刑された。

これをきっかけに当局は、密室を撤去する作業を始めた。カラオケルームからはドアや仕切りを撤去し、レストランはドアを開け放つように指導した。ところが、うるさくなった上にプライバシーが保たれなくなったため、客足が落ちてしまったという。

他人に聞かれたくない話をする場所がなくなった

中国の丹東を訪れた北朝鮮の貿易業者、パク・サンジン(仮名)氏は、デイリーNKとの電話インタビューで、新義州、咸興などの地方都市のレストランとカラオケルームから、密室がほとんど消えたと語った。

女性がいる高級レストランで話をすると雰囲気が良くなるとし、他人に聞かれたくない客との商談をこのような密室で行っていたというパクさんは、政府が売春防止を理由に仕切り、ドアの撤去を指示したため、行かなくなったと語った。

また、地域の保安員(警察官)は、レストランとカラオケルームを頻繁に訪れ、店内の確認を行い、密室があれば営業を中止させ、オーナーを連行している。

このような措置について、パクさんは「どうせ長続きしないだろう」と疑問を呈した。当局がいくら密室を撤去させても、カネを儲けようとするオーナーや女性がいる限りは、売春根絶は無理だと語った。

また、新義州で売春を行っている女性は、レストランやカラオケルームを見限り、民家を借りて営業を行い、1回に1万北朝鮮ウォン(3.3ドル)を受け取っているという。

売春は懲役刑、経営者は処刑されることも

対北朝鮮ビジネスのため新義州を頻繁に訪れるという、在北朝鮮華僑の貿易業者、中国人の貿易業者、リュ・ジルン(仮名)氏は、8月末には多くのレストランに特室(仕切りのあるVIPルーム)があったが、今はすべてなくなっていると述べた。

商談を行おうにも他に場所がなく、売春取り締まりのせいで他のレストランまで被害を受けているとのことだ。

北朝鮮当局は、売春行為で摘発した女性に対して、初犯の場合は労働鍛錬隊(軽犯罪者を収容する刑務所)6ヶ月の刑、再犯の場合は正式の裁判を経て1年以上の懲役刑にしているという。経営者の場合は、処刑されることもある。