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北朝鮮の国営朝鮮中央通信は26日、平壌・綾羅島(ルンラド)のメーデースタジアムで、6月初めから10月中旬まで、大マスゲーム・芸術公演「人民の国」が行われると報じた。

一時は、中止が伝えられていたマスゲームだが、中国人観光客に大人気とあって、外貨稼ぎのためにやることにしたようだ。

これに関連して、北朝鮮の朝鮮国際旅行社は、中国の旅行会社に24日付で次のような通知文を送っている。

通知

10万人がパフォーマンスを繰り広げるマスゲーム「輝く祖国」(旧アリラン)は、2019年6月3日から10日まで行われます。(終了日は別途お知らせします)。公演期間中に朝鮮を訪れる外国人はこのパフォーマンスを必ず見なければなりません。チケットは事前に旅行会社を通じて支払い、さもなくばビザの申請は受け付けません。

かつてはアリラン、昨年は輝く祖国、今年は人民の国と、タイトルが変わっているが、中国ではアリランで通じるこのマスゲーム。北朝鮮事情に詳しい中国の情報筋は、「マスゲームの入場料を払わなければビザを発行しない」なんて今までなかったと述べた。

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おそらくこのガメつい商法の背景には、国際社会の制裁による著しい外貨不足があるものと思われる。制裁で鉱物、海産物、労働力の輸出など主な外貨の稼ぎ頭をすべて奪われた北朝鮮。残された数少ない外貨収入源の観光を、積極的に活用しようとしているようだ。

韓国・統一研究院のチョン・ウニ副研究委員は今年2月に発表した報告書で、2018年の中朝貿易が前年比51.8%減の2億1314万ドル(約233億6300万円)になった一方で、同年7月以降に北朝鮮を訪れる観光客が急増して120万人に達し、1人あたり300ドル(約3万2900円)を使ったと考えると、北朝鮮は約3億6000万ドル(約394億6100万円)の収入を得たとの試算を発表した。

120万人という数字は、チョン研究委員が中国観光統計局の関係者から聞き出したもので、当局は、軍用車両を使った臨時列車を運行、観光客を運ぶなど対応に追われるほど「嬉しい悲鳴」を上げていることを考えると、あながち誇張された数字ではないだろう。

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北朝鮮のマスゲームは、中国版トリップアドバイザーの馬蜂窩で5点満点で4.6点の評価を得るなど、中国人観光客の間で非常に人気が高い。実際に見た人の感想を見てみよう。

数万の学生が織りなす巨大な絵巻物。公演を見て、学生たちのつらい訓練の結果が完璧なものを生み出し、私も学生時代にこのような政治事業を完成させたことを思い出しました。

ユーザー:鼓励

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一方で、「今の中国では中々見られない」「唯一無二」「表現力が豊か」などと称賛しつつも、こんな不満を述べている。

もともとスケジュールには入っていなかったが、後で北朝鮮の旅行会社からの通知で、全員が必ず見なければならない、さもなくば、ツアーのスケジュールに遅延が生じると北朝鮮の旅行会社に言われました。北朝鮮の天気はとても寒いですが、既に旅行契約書にサインして代金も支払っていたので、覇王条款(消費者に不利な契約)に同意しました。

ユーザー:粥粥

通知には「これ以外にも少量の特等席と豪華席がある」と書かれている。業界では「金正恩党委員長などトップクラスの幹部の専用席ではないか」「昨年9月の南北首脳会談のときに、金正恩氏と韓国の文在寅大統領がマスゲーム「輝く祖国」を観覧した際に座ったスタジアムの中央の席ではないか」と囁かれているという。また、また、韓国企業のトップらが座った席が豪華席ではないかということだ。

さて、マスゲームの観覧料だが、朝鮮国際旅行社から中国の旅行会社に示したのは、3等席は800元(約1万2700円)、2等席は2500元(約3万9600円)、1等席は4000元(約6万3400円)となっているが、豪華席、特等席の料金は明らかにしていない。一方で、北朝鮮専門旅行会社のコリョツアーズは豪華席を800ユーロ(約9万7600円)で売り出している。

3等席:100ユーロ(約1万2200円、1150席)

2等席:300ユーロ(約3万6600円、270席)

1等席:500ユーロ(約6万1000円、70席)

VIP席(豪華席):800ユーロ(約9万7600円、30席)

(参考記事:実は近くて普通に行ける、北朝鮮旅行

そんなマスゲームだが、10日から当面の間休演することがわかった。観覧した金正恩氏が不満を述べたことで、内容の修正を行っているものと思われる。