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制裁による経済難が深刻さを増している北朝鮮。各地の国営工場が操業停止に追い込まれていると伝えられる中、不足する肥料を半ばだまし取っていた女性3人が当局に摘発された。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは道内の安州(アンジュ)にある南興(ナムン)青年化学連合企業所でのことだ。近隣に住む女性3人が逮捕され、公開裁判にかけられた。

北朝鮮では最近、手広く商売している人が摘発される事例が報告されている。

平壌市内の大同江ビール工場からビールを仕入れ、郊外の市場やレストランに配送するビジネスをしてきた女性が逮捕され、有罪判決を受け、平壌から追放される事件が起きたが、今回の事件は少し趣が違うようだ。

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3人の商売は「常識を超える行動」(情報筋)だったという。その手口は次のようなものだ。

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肥料工場の周辺には、肥料を求めて全国から農場関係者が集まってくる。しかし、肥料をいつ受け取れるかわからず、数ヶ月を待つことになる。順番が決められておらず、ただひたすら待つしかない。

工場近辺に住む女性3人は、そんな彼らに宿と食事を提供する商売を始めた。鉄道駅の近辺で、列車を待つ人を宿泊させる民泊「待機宿泊」と同じものだ。一般的には自宅の空き部屋を細かく仕切って、1泊1万北朝鮮ウォン(約130円)で客を宿泊させ、食事は別料金だ。

これだけでもかなりの収入となるが、3人は悪知恵を働かせた。宿泊代金は現金ではなく肥料で受け取ることにしたのだ。肥料を受け取りにきた担当者たちが、それぞれいつ、どれほどの量の肥料を受け取るかを把握した上で、彼らが差し出すことのできる目いっぱいの量の肥料を請求していた。その肥料の市場価格は、提供したサービスの額の10倍を超えていたという。その量は1年に30〜40トンに達する。

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女性たちは、肥料を市場で売りさばいた。北朝鮮の市場で尿素肥料が1キロ3000北朝鮮ウォン(約39円)程度で販売されていることを考えると、3人は最高で年間1億2000万北朝鮮ウォン(約156万円)ほどを荒稼ぎしていたものと思われる。一般的な労働者の月給の3200年分以上にあたる。

多くの農場が国からの肥料の配給に期待せず、市場で肥料を購入するため、春になると肥料価格は上昇する。それを考えると3人の儲けはさらに大きかったことだろう。

工場の近隣に住む3人は、工場関係者に加え地元の保安署(警察署)、検察、労働党委員会ともかなりの人脈を築き、農場関係者が被害にあったことを訴え出ようにもできないように追い込んでいた。