中朝貿易の物量の約7割が通過すると言われている北朝鮮の貿易都市、新義州(シニジュ)。鴨緑江を挟んで中国の丹東と向かい合っている一方で、韓国とは300キロ以上離れている。そんな新義州で韓国のテレビをリアルタイムで見ている人がいると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

新義州はもともと、韓流ドラマや映画が保存されたUSBメモリやSDカードが他の地域より多く普及している。地元の人々が使う言葉も韓国の影響を受けているもようで、北朝鮮の他の地域とは少し違っていると評されるほどだ。

情報筋は「新義州は丹東と近いせいか、テレビで中国のチャンネルや韓国のチャンネルが見られる。川を挟んでいるだけで、背の高い障害物は何もないので、(市民は)電気が供給される時にはそれら(外国のテレビ)を見るのに忙しい」と伝えた。

年配の人は韓国のニュースを、若者は韓流ドラマや映画を好んで見ており、中にはリアルタイムで見ている人もいるという。

情報筋は、新義州の人々がどのようにして韓国のテレビをリアルタイムで受信しているかについては触れていない。

新義州から東に130キロ離れた雲山(ウンサン)、南東に110キロ離れた博川(パクチョン)で、韓国から送信されたKBSテレビが受信できたという情報があるが、山間地の特殊な地形だからこその現象のようで、平地にある新義州では不可能だろう。

中国ではケーブルテレビで韓国の放送を見ることができるが、いくら近いからと言ってもケーブルなしで受信することは不可能だ。そうすると、受信方法として考えられるのは衛星放送だ。

中国では無許可で個人宅に衛星放送受信機を設置することは違法となっているものの、機器は堂々と売られているため、これを密輸して使っていると思われる。

丹東で衛星放送受信機を販売している韓国人業者は、2007年のデイリーNKの取材に対して、北朝鮮でも高層マンションの南側に面した広めのベランダにパラボラアンテナを設置すれば、KBS、MBC、SBSなど韓国の7〜8チャンネルが受信できると説明した。

韓流好きの妻に説得されて自宅にパラボラアンテナを設置したという新義州在住の華僑は、家宅捜索さえされなければバレることはないと述べている。また、新義州には中国の携帯電話の電波が届くため、それを利用してネットテレビを見ている可能性もある。

北朝鮮で韓国のテレビを見ることは違法行為で、銃殺されかねないほどの重罪だ。

ところが、取り締まりはさほど効果を上げていないもようだ。

情報筋によると、1950年代から1980年代に生まれた人々は、取り締まりを避けようと必死になるが、1990年代に生まれた世代は取締官に食って掛かるという。酷い目に遭わされたとしても韓流を見るのをやめようとしないため、取締官はため息をついているほどだという。

国の配給システムが崩壊した後で生まれ育ったチャンマダン(市場)世代と呼ばれる若者は、国や最高指導者の存在をありがたく思う気持ちが希薄で、自分の生活は自分で切り開くという考えが強い。1990年代の食糧危機「苦難の行軍」のころに育った若者の中には、生き伸びることを優先し学校に通う余裕のなかった人も多く、体系的な思想教育を受けていないことも影響していると言われている。

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