国連安全保障理事会は2017年12月、対北朝鮮制裁決議2397号を採択した。それには、北朝鮮に供給される原油の量の年間の上限を400万バレル、ガソリンや軽油などの石油製品は50万バレルに制限する内容を含む。

厳しい制裁にもかかわらず、北朝鮮のガソリン価格は比較的安定しており、今年に入ってからは下落を始めた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK情報筋によると、現地ではガソリン1キロ(1.34リットル)が、前々週比で2500北朝鮮ウォン(約32円)安い1万3000北朝鮮ウォン(約170円)で取引されている。

この価格は北朝鮮北東部のものであるが、情報筋が平壌から貨物を運んできたトラックドライバーから聞いた話によると、平壌のガソリン価格も同水準だとのことだ。

「数日前(18日)に平壌から出発したトラックドライバーから『地方は価格が高いと思い、ガソリンを積んできたが失敗だった。地方でも価格は似たり寄ったりで無駄だった』と聞いた」(情報筋)

2017年12月の安保理決議採択直後、北朝鮮国内のガソリン価格は高騰した。昨年1月には1キロ2万7000北朝鮮ウォン(約350円)で、前月比6割も上がった。ところが、それ以降は下落傾向を見せ、1万5000北朝鮮ウォン(約195円)前後で上下を繰り返し、7月には1万北朝鮮ウォン(約130円)前後まで下がった。

その後また上昇傾向となったが、新年に入ってさらに15%下落したというわけだ。コメが5000北朝鮮ウォン(約65円)、トウモロコシが2000北朝鮮ウォン(約26円)前後で価格が安定していることとは対象的だが、制裁下でこの程度なら御の字と言えよう。

ガソリン価格が安定している理由について情報筋は、当局の主導で海上と陸上で大々的に行われている密輸を挙げた。米国ウォールストリートジャーナルは、昨年だけで北朝鮮のタンカーが、その輸出規制上限(50万バレル)の5倍の石油を輸送したと報じている。

「原油の密輸は(中国と北朝鮮の)国境ができて以来、一度たりとも中断したことがない。米国の経済封鎖でも防げない。油がなければ国のすべてが止まってしまうので、密輸すればするほど儲かる。だから手段を選ばない」(情報筋)

今回のガソリン価格の下落について現地では中国からの密輸原油の価格の下落と、北朝鮮国内で生成された軽油の供給量増加が原因と見られている。軽油は主に軍と国営工場に供給されるが、横流しなどで市場に流入するものが増えたと思われる。

「わが国の貿易業者は、国内の燃料価格が上がれば、中国からの密輸量を増やし、価格が下がれば減らすので価格が調整される」(同)

また、中国からの援助で入ってくる原油や、制裁で輸出できなくなった石炭が国内向けに回されていることも影響していると考えられる。

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