在イタリア北朝鮮大使館の代理大使を務めていたチョ・ソンギル氏。任期が切れる直前だった昨年11月に行方をくらまし、第三国に亡命を申請したと伝えられている。

北朝鮮外務省の先輩で、在英国大使館で公使として務めていた2016年7月に韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)氏は自身のブログで、チョ氏に宛てた手紙を公開した。太氏は後輩チョ氏に対して「韓国に来るのは、選択ではなく義務」だとして、韓国入りを求めた。

この太氏の近況を北朝鮮の高官らが知りたがっており、中国人の知人を通じて情報を得ようとしていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

最近、北朝鮮の高官A氏と会ったと明かした中国の情報筋は、A氏から太永浩氏の近況について聞かれたと明かした。彼は「(北朝鮮の高官から)脱北して韓国に亡命した人について聞かれたのは初めて」で、非常に驚いたという。

平壌の某有力機関の高官であるA氏と情報筋は、中朝親善行事での出会いをきっかけに、親交を深めてきた。中朝貿易についての話を交わしているときに突然、太氏の名前が彼の口から飛び出したことに、情報筋は慌てたという。

韓国の知人を通じて聞いた太永浩氏の近況を詳しく説明すると、A氏は冷静に耳を傾けたという。そして「あなた方(北朝鮮)はどう考えているか」と尋ねたところ、次のような答えが返ってきたという。

「上層部(朝鮮労働党中央委員会)は、彼が党の資金を持ち逃げしたと言っているが、大使館の公使が党の資金を扱えないことぐらいは自分たちも知っている。話にならない」

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2016年8月20日、「多額の国家資金を横領し、国家秘密を売り渡し、未成年強姦犯罪まで働いた」「ハエばかり集まるゴミ捨て場からは悪臭しかしない」などと太氏を口汚く罵っている。また、昨年5月にも太氏を「人間のクズ」などと罵倒しているが、いずれも実名は出していない。また、一般国民も読める労働新聞には、これらの記事は掲載されていない。

ベトナムへの資源輸出に携わっている北朝鮮貿易機関の幹部B氏に会ったという北京の別の情報筋も、太氏の近況について聞かれたと述べ、北朝鮮当局が太氏の亡命を秘密扱いにして箝口令を敷いていることがわかったと語った。ただ、B氏が単に好奇心から尋ねたのか、太氏を非難したかったのかはわからないという。

この情報筋は、「太永浩公使が亡命したことが北朝鮮国内で知られれば、幹部にも一般国民にも衝撃的で、少なからぬ動揺が起きるだろう」として、党の立場からすると彼の亡命を大々的に非難することもできないのだろうと見ている。

上層部からの指令などではなく、単なる好奇心で聞き出そうとしているのならば、その情報は恐ろしい勢いで北朝鮮全土に広がることだろう。

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