人口約2500万人の北朝鮮で、現在使われている携帯電話の台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。

スマートフォンの普及も進んでいると言われているが、デイリーNKは最近、北朝鮮製の最新型スマートフォンの入手に成功した。

この機種は、チェコム技術合営会社が製造した「平壌2423」だ。刻印された生産日は2018年10月となっており、北朝鮮の国営メディアでもほとんど紹介されていない製品だ。同社はスマートフォン以外にもタブレットPC「平壌3404」や、MP3プレイヤー、電話機なども生産している。

プロセッサーは、台湾のメディアテック社製のMT6737が使われている。北朝鮮製のスマートフォンとしては初めて64ビットをサポートするプロセッサーを採用した。また、OSはほぼ最新のAndroid 8.0 Oreoが採用されている。

この機種にはWi-Fi、指紋認証、ナビ、電子書籍のリーダーなど、様々な新しい機能が搭載されている。

デイリーNK編集部で、韓国のWi-Fiへの接続を試みたが繋がらなかった。おそらく、北朝鮮独自のWi-Fiアプリ「未来」を使って接続するものと思われる。

北朝鮮製の最新型スマホ「平壌2423」には指紋認証、Wi-Fiなどの機能が搭載されている(画像:デイリーNK)
北朝鮮製の最新型スマホ「平壌2423」には指紋認証、Wi-Fiなどの機能が搭載されている(画像:デイリーNK)

インストールされているアプリの中には、「私のキルトンム(同行者)4.1」というものがある。これはサムン情報技術交流所が制作したアプリで、ゲーム、動画などをダウンロードするためのアプリだ。この会社はアンドロイド用のアプリ開発に注力しており、金日成総合大学を優秀な成績で卒業した若い技術者を多数確保していると言われている。

ゲームを購入後、アプリはネットからダウンロードするようになっている。ただ、プレインストールされているものに関しては、認証キーだけを購入すれば使える。これも無許可のアプリの使用を防ぐ仕組みだ。

インストールファイルをダウンロードする際、ネットを使えば多額の料金が発生するので、「ホームページからダウンロードせよ」となっている。これにはWi-Fiスポットの利用を勧める意味合いがあると思われる。

ゲームダウンロード用のアプリ「私のキルトンム4.1」のUI(画像:デイリーNK)
ゲームダウンロード用のアプリ「私のキルトンム4.1」のUI(画像:デイリーNK)

決済は、朝鮮中央銀行が発行したデビットカード「チョンソンカード」、または「サムンカード」で行うことになっている。後者について詳細は不明だが、この会社が独自に制作したものと思われる。

電子書籍リーダー「光明1.22」は、北朝鮮で発行された様々な電子書籍を閲覧するためのアプリだが、「購入した図書」というタブがあることから、電子書籍を購入するサービスが存在するものと思われる。

平壌2423の特徴としてあげられるのは、「違法な情報」の拡散を防ぐための機能が搭載されている点だ。

従来の機種は、USBケーブルでパソコンと繋げば内部のフォルダにアクセスできたが、平壌2423ではできないようになっている。つまり、パソコンとのファイルのやり取りができなくなったということだ。ただし、アクセスが完全にブロックされたのか、特殊なソフトを使えば可能なのかについては確認できなかった。

SDカードをスロットに入れると、「メモリカードとして使用する」「内部のメモリカードとして使用する」という選択肢が表示される。後者を選択すると、SDカードの初期化を求める仕様となっている。前者を選択すると、初期化は求められないが、外部のパソコンからのアクセスはできなくなる。

外部のパソコンでイメージファイル(JPG、PNG)や文書ファイル(PDF)をコピーしたSDカードを挿入すると、自動的に削除される仕組みになっている。つまり、許可されていないファイルはすべて削除されるということだ。ただし、削除されるのはイメージや文書だけで、システムファイルなどに影響は出ない。

スマートフォンの普及により、韓流ドラマ、映画、K-POPの拡散がより一層早まっていることに対して、北朝鮮当局が警戒している事実がこうした機能により体現された形だ。

北朝鮮製の最新型スマホ「平壌2423」のスロットにSDカードを挿入すると初期化が求められる(画像:デイリーNK)
北朝鮮製の最新型スマホ「平壌2423」のスロットにSDカードを挿入すると初期化が求められる(画像:デイリーNK)

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