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北朝鮮の町に立ち並ぶ様々な店舗やワゴン。一見すると民間の経営のように見えるが、その内実は市人民委員会(市役所)商業部などの政府機関が、上納金を支払う見返りに役所の名前を貸し与え営業を認める「名義貸し」の形で営まれているものだ。

(参考記事:北朝鮮で「民間企業」が年々増加…「食堂の3分の2は民間経営」

地方政府が、穀物を販売する食糧販売所をこのような形での運営を始めたところ、市民からの非難の声がにさらされるようになった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(新義州)市内には、6ヶ所の食糧販売所が存在する。いずれも市人民委員会商業部所属で、協同農場や農民から買い取ったコメなどの穀物だけを販売し、利益は国庫に納める。

かつて北朝鮮では、食糧から住宅に至るまでほとんどのものを国が配給するシステムを取っていた。農民が余剰農産物を販売する場として農民市場というものが存在したが、穀物の販売は禁止されていた。

その状況が一変したのが、1990年代に北朝鮮を襲った未曾有の食糧難「苦難の行軍」だ。配給システムが崩壊し、国民はすべてのものを市場で買わざるを得ない状況となった。市場での穀物の取引は違法で取り締まりが行われたが、穀物流通における国の主導権は失われてしまった。それを取り戻すために政府が2003年に開設したのが食糧販売所だ。

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しかし、「なぜ国が割り込むのか」と非難されうまく行かなかった。また、役所は資金不足でコメを買い取れない状況となったため、市人民委員会はトンジュ(金主、新興富裕層)を食糧販売所の責任者にして、穀物売買の権限を与えた。

トンジュの立場からすると、食糧販売所での穀物の取引は国が認めた合法的なものであるため安全性が高く、投資をしやすいというわけだ。ところが、これが市民や商人から怒りを買っている。

国営の看板を掲げた食糧販売所は、中国から密輸されたコメであろうが、協同農場がヤミで売り渡したコメであろうが関係なく、毎日数十トンのコメを買い付け、販売している。これにより、市場で形成されていたコメの市場価格に混乱が起きてしまったのだ。

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また、市民からは「国がコメで商売をしていいのか」との非難の声が上がっている。これは「国は人民にコメを無料または非常に安価に配給するもの」という、配給システムが生きていた時代の観念が北朝鮮国民の頭の中に残っているためだ。

現在、新義州市内には6ヶ所の食糧販売所があるが、それぞれ責任者の能力に応じて運営方式が異なる。例えば、南山洞(ナムサンドン)にある食糧販売所は、国の「食糧配給所」を兼ねていて、年老保障者(年金生活者)に国定価格でコメを売っているが、ほとんどが前々年に収穫された古古米の玄米で、「やってるふりをしているに近い」と陰口を叩かれている。