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北朝鮮の金正恩党委員長が、今年の新年の辞で「重要建設」に挙げた元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区と三池淵(サムジヨン)開発。

いずれも、今後外国人観光客を多く受け入れることを念頭に置いたメガプロジェクトだが、その建設にあたっているのは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊と、各地から動員された一般国民だ。ところが、動員を嫌がって代わりに働く人を送る人が増えていると、 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

道内で建設が行われている清川江(チョンチョンガン)階段式発電所。平城(ピョンソン)市の各機関、工場、企業所、女盟(朝鮮社会主義女性同盟)、青年同盟(金日成金正日主義青年同盟)などは、従業員やメンバーの中から、その建設現場に送り込む人を選ぶ。

例えば、トンジュ(金主、新興富裕層)が多く住んでいることで知られる市内の陽地洞(ヤンジドン)の女盟突撃隊の部門委員会は、傘下の団体にそれぞれ1〜2人を動員させ、全体で15〜20人を建設現場に送り込んでいる。ところが、「代打労力の割合が高い」(情報筋)というのだ。

代打労力とは、所属する職場や機関から建設現場への動員を求められた人にカネで雇われて代理で働く人のことを指す。平城駅前にある寄せ場(日雇い労働を求める人が集まる場所)に行って、人を雇うのだという。賃金は3日間で賃金60元(約990円)。交通費20元(約330円)と食糧も渡す。

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最高指導者が指示した国家的建設の現場で働くという「崇高なる労働」を放り出し、人任せにする風潮が広がっているのか。その理由の一つは、忙しいからだ。

平城は、北朝鮮有数の卸売市場を抱える流通の要衝だ。市民の多くが市場での商売に関わっていて、周辺地域からは仕事を求めて多くの人が流入してくる。カネにもならない動員に応じて国や指導者のために働くよりは、カネで代打を買って送り込み、その間に自分のビジネスをやりたいということだ。金正恩氏が力を入れている国家的事業ですらこのような現象が起きているのだ。

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また、労働環境の劣悪さも理由だろう。まともに安全設備が備えられていない現場で、慣れていない人が働けばどういうことになるか、想像に難くない。

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国家的建設の現場では、工期の遅れを懸念する声が上がっているという。カネで買われた代打のほとんどがやる気がなく、適当に時間つぶしをしているだけだからだ。

動員する人をまとめる機関、団体、工場、企業所もかつてのように動員には積極的ではなく、当局も統制できていないようだ。