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国連教育科学文化機関(UNESCO)は11月29日、秋田県男鹿市の「ナマハゲ」、沖縄県宮古島市の「パーントゥ」など日本の「来訪神 仮面・仮装の神々」10行事を世界無形文化遺産として採択した。

これに先立ち26日には、南北朝鮮が合同で提案した「シルム」(朝鮮式の相撲)を採択している。朝鮮半島のものが選ばれたのは今回が初めてではない。「キムジャン(キムチ漬け込み)」がすでに採択されているが、これについては韓国と北朝鮮が別々に提案、別々に採択された。

世界無形文化遺産であることとは関係ないが、キムジャンと絡み、北朝鮮の市場では詐欺や窃盗が横行している。白菜、トウガラシ、ニンニク、塩辛などキムチの材料を買い求める人々で、市場がごった返すすきを狙った犯行だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が語った事件の顛末は次のようなものだ。

清津(チョンジン)市内の水南(スナム)市場で今月20日、コメを入れて運ぶリュックを背負った女性2人が、乾燥トウガラシを売る商人らに接近し「農村からコメを売りに来たが、ついでにトウガラシの値段を知りたい」と話しかけた。

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2人の言葉遣いや身なりは典型的な農村女性のもので、汗をかきながらリュックを背負っている様子を見て、商人らは何の疑いも持たなかったという。トウガラシを眺めていた2人は、ある60代の商人の前にリュックを置き、「ここのトウガラシがいい」と言って手にとった。

商人が天秤に重しをつけて重量を測った。2人は首を横に振って「もっと重いはずだ、もう一度量ってほしい」と言い出した。商人は「そんなはずはない」と反発した。

すると2人は「他の商人のところで量ってもらう」と言って、リュックを置いたまま、トウガラシの入った麻袋を運んでいった。商人は、2人がリュックを置いていったので安心して追いかけなかった。他の商品もあるので、その場を離れるのは危険だったこともある。

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ところが、10分経っても2人は一向に帰ってこない。商人は不安になり、リュックを開けてみたところ、中にはいっていたのは砂だった。騙されたことに気づいた商人は、大慌てで市場の保安員(警察官)に通報し、あちこちを探したが、結局見つからなかったという。

この水南市場は、韓国・ソウルにある東大門市場の2倍の規模を誇る北朝鮮有数の巨大市場だ。探したところでそんなに簡単に見つかりはしないだろう。一方では、若者が群れをなしてトウガラシや調味料の入った麻袋を次から次へと盗み出す事件も発生しており、それらの盗品が市場の外に運び出されるのに数分もかからないとのことだ。

生き馬の目を抜くような北朝鮮の市場で、商人も相当気をつけているようだが、それでも被害に遭う人がいるのである。

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両江道(リャンガンド)で商人だった脱北者のキム・ミョンオク(仮名)さんは「北朝鮮の窃盗はほとんどが生きるためのもので、駅前や市場などで多く発生する。保安員が巡回しており、商人も気をつけて入るが、あまりにも泥棒が多く『ワザ』も優れているため、相当気をつけていても盗まれることが多い」

(参考記事:「法は無視しろ、頼るべきは暴力だけ」北朝鮮でヤクザと半グレが増殖中

今よりはるかに治安が悪かった1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時代には、当局は強盗をその場で射殺するなどのあらっぽいやり方で対処していたが、それでも犯罪が減ることはなかったようだ。