北朝鮮の平壌では今年4月1日と3日、韓国芸術団の公演が行われた。南北首脳会談のムード作りのために行われた公演だが、金正恩党委員長と李雪主(リ・ソルチュ)夫人がK-POPアイドルのレッドヴェルベッドら出演者に直接歓迎のあいさつをしたことで話題になった。

(参考記事:わざわざ「ガールズグループ」に会いに行った金正恩氏の危険な試み

それから7ヶ月。公演の様子を収めたDVDが北朝鮮の一部地域で出回り始めたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

北東部の大都市、清津(チョンジン)では、このDVDが水南(スナム)市場をはじめ、浦港(ポハン)、新岩(シナム)など各市場で、3万北朝鮮ウォン(約390円)から5万北朝鮮ウォン(約650円)で売られている。公演のすべてが収録されているものの、金正恩氏夫妻登場シーンはカットされている。また、DVDが政府の許可を受けて製作されたものか、ヤミのものかについて、情報筋は触れていない。

水南市場は、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)市場と並んで、北朝鮮の卸売り市場のビッグ2だ。ここで買い付けられた品物は、商人の手を経て全国の市場に持ち込まれる。つまり、DVDは遅かれ早かれ北朝鮮全域に広がるということだ。

4月の公演には、チョー・ヨンピルなど日本でも有名な歌手に加え、ガールズグループのRed Velvet(レッドベルベット)も参加したが、清津市民の間では早速韓国の歌手についての話が交わされているようだ。

「ペク・チヨンの歌が非常に人気が高かった。司会を務めた背の高い人(ソヒョン)の人気も高かった。きれいで背も高く言葉もきれいで、少しぼんやりした静かな語り口で女性らしさが際立ち、南朝鮮(韓国)女性の方がオシャレだという評価だ」(情報筋)

北朝鮮は、韓流やK-POPを「退廃的で色情的かつ醜悪な内容を反映した絵、写真、図書、歌、映画など」とし、取り締まりの対象にしてきた。今年初頭から始まった風紀取り締まりキャンペーンでも韓流が槍玉に挙げられていた。

韓国在住の脱北者はこの講演の直後、デイリーNKとのインタビューで、公演の映像について「すぐに広がる。カネ儲けのアイテムなので拡散は速い。1〜2ヶ月もすれば『南朝鮮の講演のDVDがあるよ』と売る人が現れるはずだ」と答えていたが、何らかの事情で7ヶ月かかったものの、ついに流通が始まったということだ。

一方、この地方では韓国製品がおおっぴらに売られるようになったとの情報もある。

現地の別の情報筋によると清津や咸興(ハムン)の市場では韓国製品の人気が高く、清津ではおおっぴらに売られるようになったとのことだ。人気アイテムは化粧品、テレビ、携帯電話、服などで、言い値で売れるほどの人気だという。

当局は、韓国製携帯電話の販売、所有を禁止しているが、それが逆に人気を呼ぶ結果となっている。

「(携帯電話は)LGもサムスンもある。中古でも新品と変わらない。北朝鮮製に比べると数倍高いが、質は北朝鮮製や中国製より何倍もいいので、すぐに売れてしまうサムスンの携帯電話は北朝鮮で最高級品扱いだ。しかし、(当局が)ダメだというから『いいからダメだというのか』と逆の意味で受け止めて、人気に拍車がかかるという。外貨稼ぎ事業所の所長などそれなりの権力を持った人は先を争ってLGの携帯電話を買い求め、自慢し合う」

北朝鮮の一部地域では先月から韓国製品の取り締まりが緩和されたとの情報があったが、韓国製品の販売を巡る詳細については今後の状況を見守るべきだろう。

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