最近、北朝鮮の首都・平壌の高級マンションに住む住民の間で、電子ロックの設置が流行している。これは、北朝鮮人民あこがれの韓国の影響によるものと思われる。

中国遼寧省丹東の貿易業者が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、平壌市民の間で電子ロックの設置が流行していることを受け、丹東に支社を置く北朝鮮の貿易会社は、電子ロックの価格、性能の調査を行いつつ、物量の確保に奔走している。

電子ロックと言っても、日本の集合住宅で一般的な玄関のオートロックではなく、各部屋の玄関ドアに設置されたものだ。ICチップの入ったカードをタッチして開けるものもあれば、タッチスクリーンに表示された数字版に暗証番号を入力して開けるものもある。最新式のものは、両方の機能を備えている。

北朝鮮に輸出される電子ロックの多くが中国製だが、最新式のものは性能面で検証されたとは言い難い。そこで、各貿易会社は、より信頼の置ける韓国製の最新式電子ロックをなんとか北朝鮮に持ち込む方法はないかと苦心している。

韓国で一般的な電子ロック(画像:サムスンSDS提供)
韓国で広く普及している電子ロック(画像:サムスンSDS提供)

「韓国では先進的な電子ロックがほとんどのマンションに設置されていることを、平壌市民も良く知っている」(貿易業者)

韓国は、電子ロックの普及が世界で最も進んだ国だ。統計により異なるが、韓国の電子ロック普及率は5割から7割に達し、世界一だ。価格は最新式のもので1万円台。指紋認証、Wi-Fi認証も可能なハイエンドモデルもある。一方、中国では韓国より価格が5割ほど高い。

北朝鮮の富裕層は、韓流ドラマや映画に登場する韓国の住宅で電子ロックが使われているのを見て、先を争って電子ロックを設置しようとしているものと思われる。

(参考記事:北朝鮮、韓国製品の取り締まりを緩和か

もう一つ影響しているのが、「見栄っ張り」と言われる北朝鮮の人々の気質だ。

「高級マンションの中でも、電子ロックが設置された家はさらに高級に見えるので、トンジュ(金主、新興富裕層)や幹部が先を争って設置しようとする」(在北朝鮮の華僑商人)

財力を示すことが社会的権力につながる風潮が強い北朝鮮では、少し背伸びしてでも高いものを買おうとするようだ。言い換えると、安いものを買うと体面にかかわるということだ。

華僑商人は「最新式の電子ロックの需要があることは、平壌に泥棒が多いことの証拠」と述べたが、北朝鮮当局は犯罪に関する統計を公表していないため、盗難被害がどれほどあるのかは不明だ。腹をすかせた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が兵士の集団が、民家を襲う事件が相次いでいる地方ほどではないことは確かだろう。

(参考記事:金正恩氏「堪忍袋の緒が切れた」ドロボー兵隊集団に厳罰

ちなみに電子ロックは非常に便利だが、安全面で問題がないとは言えないようだ。

韓国のJTBCテレビは、プロの空き巣はもちろん、一般人であっても電子ロックを簡単に開けられてしまうとして、電子ロックの安全性に警告を発した。

同局が報じた空き巣の手法は、電気ショッカーで電子ロックにエラーを起こしたり、ドリルで開けた穴からT字型の針金を差し込み解除ボタンを押したりするものだ。また、同じマンションの別の部屋を訪れた際に、自分の部屋のドアロックカードを登録しておいたり、さらには物理的に破壊したりという手口もあるが、いずれも30秒前後でドアが開いてしまうとのことだ。

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