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北朝鮮の最高人民会議常任委員会は12日、建国70周年に際して8月1日から大赦を実施することに関する政令を発した。家族が囚われている人も、そうではない人も期待を高めつつある。

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咸鏡道(ハムギョンド)のデイリーNK内部情報筋は、大赦の具体的な中身が国民の間に知られつつあると伝えた。それは、次のようなものだ。

◯管理所(政治犯収容所)を除くすべての教化所(刑務所)に収監されている受刑者に対して一律3年の減刑を行う。

◯出所は8月から9月にかけて行われ、多くの人が釈放される。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋も「3年の減刑は政治犯など特殊なケースを除くすべての受刑者に適用される」との話が広がっていると伝えた。

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教化所の受刑者はもちろんのこと、その家族も大喜びしている。ある女性は、夫が人身売買で逮捕され懲役10年の判決を受けて服役中だが、大赦で釈放されるかもしれないと大きく期待している。

「今までの7年間、夫を生き延びさせるために食べ物を持って教化所に面会に行ったりしてありとあらゆる苦労をしてきた。あと3年をどうやって耐え抜こうかを悩んでいたところだった。今回のこと(大赦)は夢にも思わなかった」(受刑者の妻)

懲役5年の判決を受けて平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)教化所に収監されている息子を持つ女性は、「息子は入れられてから3年が経っているので、今回の大赦で釈放される。あと2年の苦労をしなくて済むだけでももったいないほどだ」と語ったと、両江道の情報筋が伝えた。

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北朝鮮の食糧事情は大幅に改善しているが、教化所などの拘禁施設ではまともな食糧配給が行われていない。受刑者は、家族からの差し入れなしでは生き残れない。本人はもちろん、家族も苦痛を強いられているのだ。

(参考記事:北朝鮮の刑務所「教化所」の実態(2)

家族や知人に受刑者がいない人でも、今回の大赦には大いに関心を持ち、「金正日政権時代にはこんなことはなかった」「金日成政権時代と同じような大赦が導入された」などと驚いているという。

「将軍様(金正日総書記)が亡くなったときにも大赦が行われたが、減刑はたったの6ヶ月だった。実際に釈放された人は少数で、受刑者はぬか喜びさせられた」(咸鏡道の情報筋)

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金正日政権時代だった2010年9月、朝鮮労働党創立65年を記念して大赦が行われたが、公式発表は行われなかった。

(参考記事:北朝鮮、大赦で受刑者15万人減刑…「金正恩氏の配慮」強調

金正恩党委員長が政権に就いてからは、2012年1月の金日成主席生誕100周年、金正日総書記生誕70周年と、2012年1月の金日成主席生誕100周年、金正日総書記生誕70周年、2015年7月の光復(日本の植民地支配からの解放)70周年と朝鮮労働党創立70周年に合わせて大赦が行われ、今回で3回目となり、いずれも公式発表されている。

公式発表を行うのは、金正恩氏の「人民愛」を強調する意図があるものと思われる。「愛民指導者」というイメージを強化することで、国や指導者に対する忠誠心を引き出そうとしているのだ。

金正恩氏が現地指導の際に幹部を叱責する様子を国営メディアに報道させるのも、同じような意味合いを持っているとの見方がある。金正恩氏が経済建設に腐心しているのに、幹部は努力していないと叱責することで、国民の歓心を買うと同時に、失政の責任を幹部になすりつけるというものだ。

(参考記事:金正恩氏がまた激怒…「スッポン処刑動画」の恐怖ふたたび