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平壌では南北バスケットボール大会が開催され、北朝鮮の山林回復、道路、鉄道の復旧に韓国が協力するなど、首脳会談の開催から南北の交流が進みつつある。北朝鮮国民は関心と期待を持って見守っているが、当局はその雰囲気に冷水を浴びせかける行為を繰り返している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、今月3日に一般住民を対象にした政治講演会が行われた。テーマは「南朝鮮(韓国)は腐って病んだ社会」というものだ。

「南朝鮮の社会はすべてがカネに支配されている、富益富・貧益貧社会(格差社会)だ」
「カネのためなら人をも殺す強盗がはびこる社会、親きょうだいもカネのことで争い、殺し合う社会」

このようなプロパガンダは、講演会の開催以降も続けられている。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞や、国営の朝鮮中央テレビでは、韓国に対する批判が一時に比べてかなり和らいだが、実際の北朝鮮社会では必ずしもそうではないということだ。

つまり、韓国国民の持つ北朝鮮のイメージを向上させることと、北朝鮮国民が持つ韓国文化への憧憬を抑えつける両面作戦で、体制の安定を図ろうとしているものと思われる。

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情報筋は「このようなバカバカしい講演会はしばらくなかったが、鉄道など南朝鮮との交流が実現したことを受けて、南朝鮮に対する幻想を持つ人が増えるかもしれないと心配して、あらかじめ対処しているのだろう」と説明した。当局者はさらに、壇上でこんなことも語った。

「南朝鮮傀儡一味(韓国政府)は、存在もしないわれわれ(北朝鮮)の人権問題を持ち出し、あたかも自分たちの社会が『万民福祉』『万民平等』であるかのようにでまかせを言って、悪辣なる策動を行っている」

このように、韓国に対する憎悪と敵愾心を煽っている。「敵に対する怒りが大きくなると、体制を決死擁護しようとする精神が高まる」という伝統的な情報戦の一種だ。

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しかしもはや、北朝鮮国民にこの手のプロパガンダは通じない。韓国や米国から放送されるラジオ、中国から輸入される韓流ドラマ、映画などに触れているだけあって、いくら当局が昔ながらの韓国批判を繰り広げても、冷淡な反応しか示さないのだ。

「南朝鮮についての講演会だからと言うので、最初は熱心に聞いていたが、批判する話ばかりなので、途中からは居眠りする人が続出した。お上が何を言おうと、南朝鮮は豊かな国で、北朝鮮はその助けを得なければならない立場にいることはわかっている。あんな宣伝を信じる人はほとんどいない」(情報筋)

それだけではない。当局者の語る「腐って病んだ社会」は、北朝鮮にも当てはまることだからだ。

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例えば、財産を巡る骨肉の争いは北朝鮮でも起きている。

(参考記事:北朝鮮でも相続で「骨肉の争い」…10年ぶり帰郷の息子を母娘が追放

また、北朝鮮の拝金主義や格差社会の酷さは、韓国と比べ物にならないほどひどい。当局者が「韓国の実像」と称して韓国の問題を語ったところで、返ってくるのは「お前が言うな」というリアクションなのだ。