中国当局が、北朝鮮に対する制裁を非公式に緩和する動きを見せている中、北朝鮮の貿易関係者は、芸術品で外貨稼ぎに乗り出している。
かねてから北朝鮮は、中国各地、英国ロンドン、韓国ソウルなどで美術展を開き、作品を販売するビジネスを行ってきたが、最近になってその動きを再び活発化させているということだ。
(参考記事:北朝鮮と「やり手画商」の利害が一致!? 韓国で北朝鮮絵画展)デイリーNKの中国の情報筋によると、絵画ビジネスの舞台となっているのは、北朝鮮と国境を接する遼寧省の丹東にある中朝文化展覧館だ。入場は50元(約830円)。
人民芸術家の称号を得た朝鮮画の大家の崔成龍(チェ・ソンリョン)、水墨画、風景画で海外でも評価の高い鄭昌莫(チョン・チャンモ)、鮮于英(ソヌ・ヨン)などの作品が展示されており、気に入った作品はその場でも購入可能だ。安いものでも1000元(約1万6600円)、高いものになると100万元(約1660万円)に達する。
中朝文化展覧館のウェブサイトによると、遼寧三義集団の投資で建設され2015年10月にオープンしたこのギャラリー、中国と北朝鮮の近代芸術家の作品に重点を置いた展示、販売する文化芸術展示館だ。丹東市内中心部から6キロ以上離れた花園路58号にあり、敷地面積3万平米、鑑賞コースの長さは4000メートルに達する。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面展示場には、北朝鮮の西洋画、東洋画、陶磁器、刺繍のみならず、中朝両国の指導者や朝鮮戦争の写真、朝鮮労働党創立70周年記念の展示物、それに農産品、健康食品などの販売コーナーも併設されている。さらには、120人の芸術家が生活しながら創作活動を行うための創作室もある。
北朝鮮がここまで力を入れるのは、芸術が「儲かるアイテム」だからだ。
「北朝鮮の貿易関係者は、対北朝鮮制裁の対象に含まれない芸術作品を外貨稼ぎに利用している。特に有名画家の作品を売れば大儲けできるため、文化、芸術分野に目星をつけている」(情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面海外に輸出にしても何の問題にもならない「有望分野」と注目され、この分野に手を出す貿易関係者が増えているとのことだ。
かつて北朝鮮が、アフリカ諸国で行っていた「銅像ビジネス」は、国連安全保障理事会の制裁決議で禁じられできなくなってしまったが、単なる美術品の販売なら問題なくできるということだ。
(参考記事:北の「銅像ビジネス」、友好国が契約解除)しかし、展覧館の評判は芳しくない。中国の消費者評価サイト「大衆点評」には、ここを訪れた中国人観光客の不満が記載されている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面あるユーザーは、「(中国人民解放軍の朝鮮戦争参戦に関する展示を行っている)抗美援朝記念館に行こうとしたら開いていなかったので、タクシーでここに連れてこられたが、入場料と北朝鮮女性のダンス鑑賞料で150元(約2500円)も取られたのに、美術品は少しの陶器と絵ぐらいしかない、写真も撮らせてもらえない、騙された気分だ」と述べている。
75元(約1250円)を払って丹東1日ツアーのバスに乗って連れてこられたという別のユーザーは、「ダンスを見るのに80元(約1330円)、食事をするのに120元(約2000円)を取られ、◯◯◯(原文ママ、おそらく金正恩党委員長)にわが国の指導者(習近平国家主席)が会った時の写真やら、美女のダンスを見ただけ」と不満を述べている。