市場経済化が進む北朝鮮では、次から次へと新たな「儲かるアイテム」が生み出されている。国からの配給に全く期待できない現状では、いかに商売して儲けるかが暮らしに直結するためだ。そんな北朝鮮の人々が新たに見出したアイテムが、大学周辺の下宿だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、大学周辺の個人宅の多くが下宿屋を営んでいる。一般的に、北朝鮮の大学生は学生寮に住むことになっているのだが、なぜ下宿屋が増えるのだろうか。それは、寮の環境があまりにも劣悪だからだ。

情報筋によると、大学の学生寮は施設の老朽化が著しくて、冷暖房もなく、食事もひどい。それなのに中国人民元で1ヶ月1〜200元(約1700円〜3400円)の寮費を徴収される。北朝鮮当局は「教育は無償」と謳っているが、現実にはかなりのカネが必要なのだ。

一方で、個人が経営する下宿屋なら、水も電気も使えて食事も美味しい。下宿代は寮費より高いが、背に腹は代えられないとして多くの学生が学生寮を出て下宿屋に引っ越している。

北朝鮮の最高学府の金日成総合大学に入るには、少なくとも4〜5000ドル(約44万2000円〜55万3000円)のワイロが必要だ。また、入学後も家庭教師や妊娠中絶手術など様々なアルバイトをしなければ、本代すら得られない。

(参考記事:北朝鮮の大学生は「妊娠中絶ビジネス」も…若者は思想よりカネ

政府も、学生の生活状況について一応の調査を行っている。

「たまに中央の指示に基づき、平壌と各地方の大学の学生寮の実態調査が行われるが、抜本的な改善策が立てられることはない。寮費が値上げされても、学生寮での生活がよくなることはない」(情報筋)

情報筋は「寮費を値上げしても改善しない」理由について言及していないが、おそらく大学関係者が寮費を横領したり、寮の食堂に供給される食材を横流ししたりしているのだろう。北朝鮮ではよくあることだ。

別の情報筋によると、羅先(ラソン)海洋大学周辺の下宿屋は最近、料金を値上げする傾向にあり、1ヶ月に400元(約6800円)もする。それでもなかなか部屋が見つからないほど、需要が増えているという。

これをチャンスと見たトンジュ(金主、新興富裕層)は、大学周辺に本格的な施設を備えた下宿を建てて、学生を惹きつけている。庶民もトンジュも不動産でカネ儲けをしようとするのが、今の北朝鮮のトレンドなのだ。