中国当局は今年2月以降、深セン市での取り組みを皮切りに、外国人の入国に際して指紋を登録する制度の導入を進めている。対象となるのは、中国に入国する14歳から70歳までのすべての外国人だ。

北朝鮮との国境都市である丹東の税関でも導入が予定されているが、中国で働く北朝鮮労働者の間に「再入国できないのではないか」という懸念が広がっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

丹東在住の中国人情報筋によると、滞在期限が切れる直前の北朝鮮労働者が大慌てで帰国する様子が目に見えて増えている。新たに導入される入国審査システムの適用を逃れるために、帰国してすぐに再入国するという。

北朝鮮労働者の派遣は形式上、中国企業と個人との契約という形で行われてきた。それも私事旅行者(親戚訪問目的の渡航)という形で、有効期間3ヶ月のビザを取得して中国で働いていたのだ。

「今までは公民証(北朝鮮の身分証明書)とビザさえあえればいつでも中国に入国できたが、指紋の登録を行うようになれば、何がどう変わるかわからない」(情報筋)

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、中国企業と結んだ労働者派遣契約が最近、突如保留となった。また、朝鮮労働党の道委員会から「中国への出国を延期して待機せよ」という保衛部(秘密警察)の指示を伝達されたという。

情報筋は「理由はわからない」としつつも、「中国政府が北朝鮮国民に対して指紋登録を義務化したことで、貿易関係者と労働者の入国審査が難しくなるのではないか」と見ている人もいるとのことだ。

中国当局は、中朝首脳会談の開催された今年春から、国連安全保障理事会で採択された制裁決議に違反する北朝鮮労働者の受け入れを黙認するようになった。(参考記事:【動画】突如として現れた北朝鮮女性400人

今年3月30日、約100人の女性が複数台のバスに分乗し、北朝鮮の新義州(シニジュ)から国境の橋を渡り丹東で下車する様子が目撃されている。また4月には、吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍に、北朝鮮女性400人が現れた。いずれも中国に派遣された北朝鮮労働者と思われる。

しかし、今回の指紋登録システムで、労働者の派遣が難しくなるのではないかと懸念されている。