北朝鮮当局が2016年から両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)で建設を始めた「三池淵洗剤工場」。

昨年12月、金正恩党委員長は三池淵を訪れ、ジャガイモ粉工場とこの洗剤工場を視察したが、北朝鮮の国営メディアが報じたのは前者だけで、洗剤工場のことについて触れたことは一度もない。憶測が憶測を呼ぶ謎の施設だ。(丹東=カン・ナレ記者)

(参考記事:金正恩氏、ジャガイモ粉生産工場を現地指導

現地の情報筋によると、三池淵洗剤工場は2016年5月から工事が始まったが、当初は護衛司令部が建設を請け負い、全国の工場、企業所を対象に突撃隊(建設労働者)を募集を始めたのは、地下施設の工事が終わった昨年12月になってからだ。

それに合わせて当局は、全国の世帯に毎月トウモロコシ500グラムの供出を命じた。突撃隊に供給する食糧というのが名目だ。人口2500万人の北朝鮮から集めるとなると、膨大な量になる。

また、現場には工事関連の設備が搬入されておらず、一般的な工事ではないということぐらいは察しが付くと情報筋は述べた。

そもそも三池淵は、金日成主席が抗日パルチザン活動を行っていた地で、革命の聖地として手厚く保護されている。交通至便で労働力の確保が容易な恵山(へサン)などを差し置いて、なぜよりによって三池淵か、それもなぜ洗剤工場かとの疑問が湧くのは自然な流れだろう。

中国に派遣された北朝鮮の幹部によると、現在、北朝鮮で進められている最大規模の建設工事は、端川(タンチョン)発電所、元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区、黄海北道(ファンヘブクト)の水路、そして三池淵洗剤工場だが、この幹部は、後者2つは軍事目的だと主張した。

「黄海北道の水路工事は、有事の際に韓国軍の戦車、装甲車、兵力の進撃を防ぐための大規模なものだ。三池淵洗剤工場は、地下に化学兵器製造用の大規模施設を備えている」

この幹部によると、政府は白頭山の火山灰を原料にして洗剤を製造すると説明しているという。しかし、それは地上の施設での話で、地下では化学兵器を製造するのだと指摘した。

また、当初の建設を引き受けたのが護衛司令部であることを指摘した上で、「洗剤工場を建てるのに3万人もの人員が動員され、2年以上かかっても完成できていないということは、施設がいかに巨大かを意味する」と説明した。

同じ水路かどうかは不明だが、別の北朝鮮政府の幹部が、黄海北道で建設中の水路は新たな核実験場だと語っている。また、朝鮮人民軍筋は、三池淵の地下司令部に小型原子炉を建設すると語っている。

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