北朝鮮が早ければ6月末、遅くとも8月末までの間に、国会に当たる最高人民会議の代議員選挙を行う模様だと複数の情報筋が伝えた。(丹東=カン・ナレ記者)

前回選挙は2014年3月9日に行われ、次回選挙は本来なら2019年に行われる予定だったが、平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は「諸事情により選挙日を前倒ししたようだ」と述べた。

その諸事情とは次のようなものだ。

「2014年の選挙で代議員に選出された幹部のうち、粛清されたり、資格を剥奪されたり、あるいは歳をとって亡くなったりした人がいる。人員を補充するためには補欠選挙が必要だが、それよりも代議員選挙そのものを前倒しすることにしたようだ」

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慈江道(チャガンド)の情報筋も、選挙日の前倒しについて中央から指示があったと述べている。

「共和国創建日(建国記念日)の9月9日までに最高人民会議の代議員選挙を行うという指示を、中央が5月20日に各地方の党組織に伝えた」(情報筋)

ただし、指示には具体的な選挙日までは記されていなかったとのことだ。

選挙を前倒しすることについて、中央からの指示には「急変する内外の情勢のため」と説明されているが、その情勢とはどのようなものかについては何も書かれておらず、指示文を受け取った幹部たちは呆れた様子だったという。

北朝鮮の最高人民会議は、5年に1度の選挙で代議員を選ぶ。形の上では他の国の国会と同じだが、立法府としての機能はなく、朝鮮労働党が提出した法案や政策を承認するだけだ。

選挙は、選挙区に配分された候補者に「賛成」か「反対」の投票を行う方式で行われる。秘密投票ということになっているが、反対投票を行うためには記載台で「反対」と記入することになっているため、反対票を投じたらすぐバレる。反対票を投じた住民には、様々な制裁が加えられることは言うまでもない。

さらに、投票日の正午にはラジオニュースで、早々と選挙結果が伝えられるのだ。その内容とは「100%投票、100%賛成」。有権者をバカにしたような形式だけの選挙が盛り上がるわけがなく、そもそも有権者たちは候補者の名前すら知らないという。

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そのため、一般住民は選挙に関心など持とうとしない。一方で、幹部や知識人の間では関心が高いという。どのような人が代議員になるかを見れば、朝鮮労働党の戦略が垣間見えるからだ。