北朝鮮当局は、南北、米朝首脳会談、核実験場の廃棄など昨今の情勢の急変を受けて、国民向けの思想教育を強化している。動揺を防ぐためのものと思われるが、それが逆に動揺をもたらしている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、朝鮮労働党中央委員会から下された思想教育用の指示文の内容は次のようなものだ。

まず「幹部と住民の中に、今の情勢を見てすでに平和が訪れたかのように考えている人がいるが、このような時こそ、敵の上辺だけの平和戦略に備えて、徹底した対策を立てよ」として、従来同様の警戒を保つよう強調した。

また、先月実行された核試験場の廃棄を巡っては「数億万金(巨額の資金)を注ぎ込んで建設した創造物を、血の涙をこらえながら爆破したが、その気になれば既存のものよりさらに現代的で、技術的に完璧な施設を建設できる」としている。

さらに「先代の首領(金日成主席、金正日総書記)が守ってきた自衛的国防路線を常に堅持しなければならない。敵が銃刀を持って襲いかかってくれば大砲で抗うという立場を堅持しなければならない」というくだりもある。

「われわれは、誰もうかつに手が出せない世界的な強国になるために、何十年間も苦しい思いをして血と汗を捧げて成し遂げた成果を、次の世代に受け継がなければならない」として、完全な核放棄はありえないということを主張している。

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この指示文のみならず、北朝鮮の国営メディアも米国を牽制するような報道を繰り返している。

こうした動きについて平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は「ほとんどの人は南北、米朝首脳会談、核実験場の廃棄を見て、改革開放が現実のものになると肯定的に見ている。ところが中央の指示を見ると、人民の期待とは正反対の方向に持っていこうとしているようだ。どちらを信じたら良いのかわからずにいる」として、当局の思想教育がむしろ混乱と不安をもたらしていることを指摘した。