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北朝鮮の両江道(リャンガンド)出身の脱北女性で、現在は韓国でデイリーNK記者として活動するカン・ミジン氏が、ラジオに出演して南北首脳会談後の北朝鮮の人々の様子について語った。

カン記者が出演したのは、23日午前に放送された韓国TBS-FMの時事番組「キム・オジュンのニュース工場」だ。先月行われたラジオ聴取率調査でトップを記録した人気番組だ。

22日だけで北朝鮮住民4人と電話で通話したと語るカン記者は、北朝鮮の人々は、緊張が緩和し経済がよくなるという期待に胸を膨らませていると伝えた。

前回(16日)にも同番組に出演したカン記者は、その際、北朝鮮の様々な階層の人から、今後の経済制裁の解除に期待し、どんなアイテムを売れば儲かるかについて相談を受けていると明らかにした。

警察などの司法機関に勤めている男性から「韓国から韓服(チマ・チョゴリ)を輸入して売りたい」との話を持ちかけられたカン記者は、「韓服の販売はさっさと切り上げて、車を借りてタクシー業を営む方が儲かる」とアドバイスしたと語った。この男性は、北朝鮮では行事などで韓服を着る機会が多いため、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の女性に生地やデザインの優れた韓国製のものが売れると見たとのことだ。しかしカン記者は、男性に女性服の良し悪しを判断するのは簡単ではないとして、運送業を勧めたという。

(参考記事:北の市場、売れ筋は「ジレット・フュージョン」

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また、23日の放送に先立ち北朝鮮の人に米韓合同軍事演習「マックス・サンダー」について尋ねたところ、「労働新聞などの北朝鮮メディアや政治講演会で知ったが、南北朝鮮が平和になろうとしているのに、米国はなぜ余計なことをするのか」と不満を示したと語った。

またその人物は、このままでは新たな商売の計画がダメになるかもしれないとの不安を感じつつも、米国との関係が改善されれば、商売が自由にできるようになり、暮らしもよくなるとの期待をのぞかせたとのことだ。ただ、トランプ大統領についてはほとんどの人がよく知らないとも付け加えた。

一方でカン記者は、韓国の脱北者団体が北朝鮮向けに行っているビラ散布についても語った。

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1980〜90年代に韓国から15キロほどのところにある黄海北道(ファンヘブクト)金川(クムチョン)郡の江北里(カンブンリ)で朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の部隊で勤務した経験を持つカン記者は、「ビラが北朝鮮全土に撒かれたとすれば効果は100点満点」としつつも、韓国からビラを飛ばしても北朝鮮の一般住民の手元に届くことはないと述べた。

最も遠くまで飛んだビラが落下するのが、カン記者がいた部隊の周辺地域だという。ビラが発見されれば、軍や当局が集めて焼却処分するため、民間人の目に触れることはなく、届く範囲も極めて限られているという。そもそも、韓国からビラを散布しても、北朝鮮に届くどころか、風向きの関係で韓国に戻ってくることも多い。

カン記者は韓国に隣接する黄海道(ファンヘド)の住民に「ビラを見たことがあるか」と尋ねたが、返ってきた答えはいずれも「存在を聞いたことはあるが、見たことはない」というものだったという。

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韓国の脱北者団体は、北朝鮮住民に情報を届ける目的で、大量のビラを風船に入れ北朝鮮に向けて飛ばしている。

韓国政府は朴槿恵政権時代から、ビラ散布が北朝鮮を刺激するとして自粛を要請してきた。また、先日の南北首脳会談後に発表された板門店宣言では「敵対行為の一切の中止」がうたわれていることもあり、文在寅政権は改めてビラ散布の自粛を求めた。

これを受け、ビラ散布を行ってきた北韓同胞直接援助運動のイ・ミンボク風船団長は15日、野党・正しい未来党の河泰慶(ハ・テギョン)議員らと共に国会で記者会見を開き、ビラ散布を当面中止する方針を示した。

これに先立ち、自由北韓運動連合のパク・サンハク代表は今月5日、北朝鮮を臨む臨津閣からビラ散布を行おうとしたが、これに反対する市民や地元住民とのにらみ合いの末、散布を断念した。12日未明にビラ15万枚、1ドル紙幣100枚などを風船5個に入れて散布を行った。河議員はそれらが北朝鮮に届かず韓国領内で発見されたとして、画像を提示し、パク代表を厳しく批判した。

(参考記事:「対北朝鮮ビラ」散布禁止に猛反発する人権団体の主張