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北朝鮮から逃れ、韓国にたどり着く脱北者の数は減少傾向にある。

韓国統一省の統計によると、韓国に入国した脱北者の数は、2009年の2914人をピークに減り始め、2017年には1127人まで減少した。これは、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」が終わった直後の2002年の1142人とほぼ同水準だ。また、2018年1月から3月までの入国者数は192人で、2001年の水準まで減少した。

中朝両国の国境警備の強化、北朝鮮の経済状況の好転など様々な理由が挙げられているが、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は最近、中国国内で活動していた脱北ブローカーの多くが逮捕されたことが一因だと報じた。

脱北者の救出活動を行っているカレブ宣教会のキム・ソンウン牧師によると、昨年あるブローカーが中国公安当局に逮捕されたことをきっかけに、芋づる式にブローカーが逮捕され、彼らのネットワークが壊滅した。

その結果、昨年末から今年の初めにかけて少なくとも200人の脱北者が逮捕され、北朝鮮に強制送還されてしまった。

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また、韓国のキリスト教関係者によると、中国政府は自国に滞在し、脱北者の支援活動を行っていた韓国人宣教師の滞在ビザを更新せず、事実上の国外追放とした。その数は少なくとも数百人にのぼる。

さらに脱北費用の高騰も脱北者減少の一因だ。

キリスト教関係者によると、北朝鮮から脱出して中国の瀋陽、延吉に向かう費用は1〜2万ドル(約107万円〜215万円)、そこから東南アジアに向かうにはさらに2〜3000ドル(約21万5000円〜32万2000円)が必要となる。北朝鮮の一般庶民にとっては天文学的な額だ。

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費用を工面できるのは、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)などの特権層や、先に脱北して韓国に住む家族からの仕送りを得られる脱北者家族ぐらいに限られる。

(参考記事:脱北者からの「仕送り」に頼る北朝鮮の国家財政

中国経済のデジタル化を、脱北者減少の理由に挙げる人もいる。韓国トゥリハナ宣教会のチョン・ギウォン牧師は、鉄道の切符を買うにも銀行を利用するのも身分証がなければ難しくなり、中国の国内移動が困難になったと説明した。

中国の鉄道は2011年から段階的に実名制を導入した。切符を購入するにあたって、公民証(身分証明書)やパスポートの提示が必要になり、駅の改札でも切符に印刷された名前と身分証明書の名前が一致するか確認する。

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紛失時の払い戻しや再発行を可能にしたり、ダフ屋を追放したり、事件や事故の際に乗客の身元がすぐにわかるようにしたりすることを目的としたものだ。同様の制度は昨年から長距離バスにも導入され、各所に監視カメラが設置されたことも、脱北者の移動を難しくしている。