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北朝鮮の協同農場には「非耕地」と呼ばれる土地がある。作物を植えても収穫量が少ないなどの理由で耕作を行っておらず、国が穀物生産計画を立てる時に耕作地の面積に含まれない土地だ。各協同農場はそんな土地を貸し出すなどして有効活用してきたが、当局は突如、貸し出しを禁じる指示を下した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、当局は国の土地である非耕地を貸し出して収益を上げることは朝鮮労働党の政策に反する反党行為で、摘発すれば厳罰に処すとの指示を下した。反党行為は処刑されるほどの重罪だ。

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道内の平原(ピョンウォン)郡協同農場経営委員会は、各農場の幹部に対して非耕地の実態調査を行い、非耕地として登録して3年経過した土地は農地として再登録せよとの指示も下した。幹部たちは渋々従っているが、不満の声は強い。

別の情報筋によると、どこの農場も作業班長、分組長など信頼できる人に数百坪単位で非耕地を貸し与え、一般的には収穫量の3割を賃料として受け取る。そうして得た収益で、肥料、燃料、ビニール膜などの協同農場の経営に欠かせない農業資材を購入してきたためだ。

たしかに「非耕地には何も植えてはならないというのが原則」(情報筋)ではある。しかし、国は農場に対して予算も配分しなければ、資材を供給することもない。すべて「自力更生」が求められる。

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つまり、規則を守って非耕地を遊ばせておけば、国から割り当てられたノルマが達成できず、幹部は処罰されてしまう。だからと言って、今まで通りに非耕地を貸し出せば、反党行為になり、どんな目に遭わされるかわからない。

「党は農業資材を配給せず、忠誠心だけで計画分の穀物を収穫して納めよと言っているが、幹部たちに他の選択肢はない。そうやってようやく軍糧米(軍向けのコメ)を納めているというのに」(情報筋)

この指示が実際に守られるか否かはわからない。北朝鮮の人々は、お上から不合理な指示が下されると、とりあえずは従うふりをして、ほとぼりが冷めたら元通りにする傾向にあるからだ。「上に政策あれば下に対策あり」は北朝鮮で生き抜くための生活の知恵なのだ。