中国当局は、国連安全保障理事会の制裁決議を履行するとして、北朝鮮に対して厳しい輸出制限を行い、密輸に対しても非常に厳しい姿勢を取っている。多くの密輸業者は、取り締まりの厳しい遼寧省丹東を避け、隣接する荘河に本拠地を移している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

荘河は、中朝国境の貿易都市である丹東や、中国有数の国際貿易港のある大連の中間にあり、両都市から150キロほど離れた小都市だ。丹東の情報筋によると、小規模な密輸は依然として丹東で行われているが、規模の大きいものは荘河に移っている。

荘河港で漁船に乗せられた品物は、公海上で待機する北朝鮮船に積み荷を移す「瀬取り」という手法を使って北朝鮮に運び込まれる。この手法は昨年末から横行しているが、非常にコストがかかる方式であるため、よほどの規模でない限り儲けを出すのは難しいという。つまり、国の機関の傘下にある貿易会社でなければできないということだ。

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両江道のデイリーNK内部情報筋は、国家保衛省が今年2月に「貿易会社の密輸に協力せよ」との指示を国境警備隊に下したと伝えたが、荘河における密輸も北朝鮮当局が絡んでいると見ていいだろう。

新たな密輸の本拠地として荘河が選ばれた理由について、情報筋は次のように語った。

「荘河は中朝国境から100キロも離れているため、中国の他の国境都市とは異なり取り締まりがあまりなされていない。港で荷物を積み込んで出港するときにも何ら制限を受けない」

一方、小規模な密輸に関しては、中国で代工(ダイコン)と呼ばれる人々が担っている。中国駐在の北朝鮮貿易関係者が、禁輸対象品を北朝鮮に密輸するときに利用するこの代工だが、密輸のみならず北朝鮮国内への配達までやってくれるという便利なサービスだ。確実な手段ではあるが、料金はかなり高いようだ。

一方、北朝鮮の北部山間地の両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)では、トンジュ(金主、新興富裕層)が密輸を行っている。昨年秋までこの地域に住んでいた脱北者イム・チャンヨン(仮名)さんがその詳細を語った。

トンジュは2〜30人、多ければ50人のかつぎ屋を雇い入れて1つのグループを作り、1人当たり50キロの荷物を背負わせて国境の川を渡る。密輸品は五味子、松ぼっくり、タンポポの根、ヨロイグサなど山で採れた薬草だ。人が足りなければブローカーに斡旋してもらう。覚せい剤など違法性の高いものは、トンジュではなく貿易会社が地方の保衛部(秘密警察)とグルになって密輸している。

中国側で荷物を受け取る業者は、辺防隊(国境警備隊)にワイロを掴ませているため、問題なく国境を越えられる。

利益の半分は北朝鮮の国境警備隊にワイロとして渡され、2割をかつぎ屋が、3割をトンジュが取る。かつぎ屋は50キロの荷物を運んで40元(約680円)を受け取る。これを週に1回やればコメが50キロ近く買えるカネが手に入るため、悪くない仕事だという。