「北の最高指導層に金与正(キム・ヨジョン)副部長のような性格の人がいることは幸いだ」

聯合ニュースによると、韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は9日、仁川市内のホテルで開かれた会合で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹である金与正氏(党第1副部長)について、このように語った。

金与正氏については、人当たりの良い性格であるということが、かねてから言われていた。 かつて、学生時代の友人らが(恐らくは兄のせいで)「大量失踪」した際には、ショックを受け深く傷ついたとされる。

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趙氏が語ったところによると、金与正氏ら北朝鮮の高位級代表団が平昌冬季五輪の開幕に合わせて訪韓した際、趙氏は同代表団と「睡眠時、朝食時間を除き、ほぼ24時間一緒にいた」という。そして、そこで接した金与正氏について「こちらをとても楽な気持ちにさせてくれた」とし、「非常に重要な時期に重要な責務を負って(韓国に)来て、用心深くなったりつらかったりしたはずなのに、そんなそぶりは見せず常に笑顔で接していた」と述べた。

さらに、ほかの代表団メンバーも、いわば金王朝のプリンセスに当たる金与正氏と気負わずに会話していたとも明かした。

金正恩氏は妹に絶大な信頼を寄せており、現地指導に出るときなどは、警護のために複雑になりがちな自分の動線を、金与正氏に任せているとされる。

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しかし、このように金与正氏の性格についての情報を得て見ると、金正恩氏が妹を信頼するのは単に血縁だからというだけでなく、周囲からの人望や調整能力を認めてのことなのかもしれない。

ただ、まだ30歳になったばかりという金与正氏の若さを考えると、やはり、誰か「振り付け役」がいたのではないかとも思える。可能性が高いのは、父である故金正日総書記の秘書役を長く務め、北朝鮮の権力中枢を知り尽くしているとされる、彼ら兄妹の異母姉・金雪松(キム・ソルソン)氏だ。

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金雪松氏は韓国との対話やトランプ米大統領への首脳会談呼びかけなどにおいても、金正恩氏の意思決定に深く関わっているかもしれない。

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高英起(コウ・ヨンギ)

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1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記